第二章
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登志夫はアルバイトにも精を出してそちらにも熱心になっていった、だがそれでも彼は美人と付き合えて幸せに思っていた。
そんな中でデートをしてだった。
有里子を彼女の家まで送っていた時にだ、ふと。
「ニャア」
「?猫か?」
登志夫はその声の方を見た、すると。
そこに一匹の黒猫がいた、見ればまだ子猫と言っていい位だ。登志夫はその猫を見て心配する顔になって言った。
「野良猫か、保護しないとな」
「あれ、ナイトじゃない」
有里子はその猫を見て気付いたみたいにして言った、黒のショートヘアにはっきりした目でかなり整った顔立ちである。メイクもファッションも見事で読者モデルだけはあった。その有里子は猫を見て言ったのだ。
「ここまで来たの」
「知ってる子?」
「前にうちで飼ってたのよ」
有里子は登志夫にあっさりとした口調で答えた。
「そうしてたのよ」
「前に?」
「うん、インスタに一緒に映してたりしてたのよ」
「ああ、猫飼ってるんだったね」
「けれどね、黒猫でしょ」
やはりあっさりとした口調だった。
「それでインスタ映えしないでしょ」
「えっ、まさか」
「それに可愛くないから」
眉を顰めさせた登志夫にさらに話していく。
「捨てたのよ。それでも戻ってきたのね」
「そうなのかよ」
登志夫はここまで聞いてだ、すぐに有里子に言った。
「俺帰るな」
「えっ、お家まで送ってくれないの?」
「そのつもりだったけれど止めた」
実に素っ気ない口調での返事だった。
「あともう付き合わないから」
「別れるっていうの?」
「ああ、そうだよ」
その通りだとだ、登志夫は有里子を睨みつつ告げた。
「もう終わりだよ」
「何でよ、付き合いはじめたばかりなのに」
「理由わからないのかよ」
「わからないから聞いてるのよ」
「じゃあ余計に悪いな、もう俺あんたと合わないからな」
「だからどういうことなのよ」
「言ったまでだよ、じゃあな」
こう言ってだった、登志夫は。
有里子にぷい、と背を向けてだ。彼女がナイトと呼んだ黒猫のところに行った。そうして声をかけた。
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