第8章:拓かれる可能性
第241話「戦線瓦解」
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る。
そして、同時にカウンターが決められ、葵は椿と同じように吹き飛ばされた。
「(動きが違う!より洗練されている……これは、もしかして……!)」
ダメージを受けながらも、葵と優輝のやり取りを見ていた椿が確信する。
即ち、今の優輝は導王流の極致を扱っているのだと。
「(未完成だったはず……いえ、あの時、足止めに残った時に、習得したのね……。……なんて誤算。拘束が解けた上に、こんなの……抑えようがないじゃない)」
苦し紛れに神力による植物の根で拘束しようとする。
しかし、それらは最小限の動きで躱されてしまい、さらには転移で間合いを詰められるという結果になってしまった。
「ッ……!」
「させ、ない!!」
寸での所で、葵がレイピアで優輝の拳を阻む。
「ガッ……!?」
「っ、ぅ……!?」
だが、気休めにもならない。
そのまま滑るように葵の顔に拳が叩き込まれ、ほぼ同時に蹴りが椿に決まる。
さらに創造魔法で用意していた剣が二人の体へ突き刺さり、壁に縫い付けられた。
「あ……!?」
優輝を抑えていた二人が、逆に抑えられた。
そうなれば、次に狙われるのは反撃の芽となる存在だ。
……優輝は、間髪入れずに転移魔法で緋雪に肉薄した。
「くっ……!」
緋雪が応戦するが、防戦一方だ。
攻撃しない方がカウンターされないというのもあるが、現状の緋雪にはとある理由からそれが精一杯だった。
「(まだ、克服していないのに……!)」
緋雪の“対策”。
それは、血の供給によって全盛期の力を取り戻す事。
そのために吸血衝動の完全克服が必要だった。
この戦いまでに、何度も克服しようと頑張って来たが結局間に合う事はなかったため、こうして土壇場兼神界の法則を利用して克服しようとしていた。
「っ、しまっ……!?」
吸血衝動を抑えるのに意識を割いている。
そうなれば、当然動きが疎かになる。
防御魔法を破られ、腕も防御出来ない位置に弾かれた。
それを認識した時にはもう遅い。
緋雪の体に、深々と優輝の拳が突き刺さっていた。
「爆ぜろ」
「が、ふっ……!?」
そのまま、霊力と魔力が炸裂する。
緋雪の体は上下二つに別たれ、飛び散る。
吸血鬼のような体と言えど、そうなれば再生に時間が掛かる。
「ぁ、ぐっ……!?」
さらに、ダメ押しにいくつもの剣で串刺しにされる。
“どちゃり”と、臓物をぶちまけながら、緋雪は倒れた。
「………次」
闇を纏い、優輝は次の標的を定める。
ターゲットにされた司は、その呟きに恐怖を抱かずにはいられなかった。
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