暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第241話「戦線瓦解」
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もあるが、こうまでしないと優輝は止まらない。

「ぐっ……!」

「おまけよ」

 ダメ押しに椿が神力で押さえつける。
 一瞬の隙を利用した、千載一遇のチャンス。
 それを、二人はモノにした。

「……どうするの、かやちゃん」

「……私達を洗脳から解放する際、優輝は因果逆転と代償を上手く利用していたわ。……即ち、それに匹敵する力をどうにかして集めないといけない」

 単純な力ではなく、概念や因果など、様々なモノをまとめた意味での“力”。
 それが洗脳解除に必要だと、椿は推測する。

「飽くまで、洗脳に使われた力は“闇”によるもの。つまり、光や浄化の類なら比較的効きやすいのだと思うけど……」

「……かやちゃんだけじゃあ、足りないって事だね」

 現在進行形で、椿は優輝に浄化の霊術を掛けている。
 魂にすら干渉しているはずなのに、優輝は一向に正気に戻らない。
 濁ったような瞳は、一切揺らいでいなかった。

「……そんな、悠長にしていていいのか?」

「っ……!」

「かやちゃん!」

 椿と葵が知る限りの拘束はした。
 転移も封じ、物理的な脱出も不可能にしたはずだった。
 拘束自体も、霊魔相乗などの力の爆発などでは解除できなくしていた。
 ……だが、飽くまでそれは“既知”の範囲。
 “未知”による抵抗には、成す術なかった。

「くっ……!!」

 辛うじて、傍にいた椿は神力でガードした。
 厳重なまでの拘束は、優輝から発せられた“闇”によって壊された。

「……イリスの加護ね」

「洗脳されている影響……そりゃあ、あるに決まってるよね……」

 黒い靄のようなものが優輝から立ち上る。
 それを見て、椿と葵は冷や汗を流す。

「(さっきよりも厄介に見るべきね……)」

「(問題は、どう変わったか……)」

 ……油断していた訳じゃない。
 単に、想定外だっただけ。
 だからこそ、どうするべきか椿と葵は一瞬逡巡した。





   ―――それが、致命的な隙となる。





「……ぇ?」

 一瞬、肉薄された事に気付けなかった。
 懐に入られ、短刀に持ち替える間もなく、椿は胸に手を添えられた。

「ぁ―――ッ!?」

 そして、直後に吹き飛ばされた。
 そこまでやられて、ようやく葵は動けた。

「かやちゃん!!」

 すぐさま、足止めしようと葵は優輝に躍りかかる。

「(ッ……!?さっきまでより、動きが……!?)」

「ふっ……!」

「ぁ、がっ……!?」

 今までなら、導王流と言えど少しは葵でも戦えた。
 だが、今回は違った。
 まるで攻撃の狙いを間違ったかのように、軌道を逸らされ
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