暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
そうしてあたしは、運命と出会う
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分からないまま、何もしないまま。
こんなやつに食われて死んでしまうのか。
嫌だ。
やりたいことはまだ出来ていない。
「死んでたまるか…こんな…こんなところで…っ!!」
毒に侵される苦痛に顔を歪ませながら、あたしはキメラを睨み付ける。
傍に落ちていたガラス片を手に取ると、それを持って突きつける。
勝てるわけない。そしてこの程度で猛獣が恐れるとは思えない。
だけど精一杯抵抗した。
ダメかもしれないというネガティブな事はなるべく考えず、生きることを考えた。
その時だ。
「…え?」
キメラが、爆散した。
いや、正確には何かが飛んできてキメラの顔に命中。
獅子の顔は一度膨らんだかと思えば派手に爆発したのだ。
「どういう…こと…?」
「なんとか…間に合ったみたいですね。」
その優しい声と共に、コツ…と靴の音が響いた。
「…。」
振り向くとそこには女性。
しかしこの場にはあまりにも似つかわしくない洋装の姿。
黒や青の寒色系を基調としたドレスを着、優雅な気品を漂わせた女性は、あたしの方まで歩いてくる。
「あなたは…?」
振り返る女性。
その顔、その姿はとても見覚えのあるものだった。
信じられない。
だってその女性はゲームの登場人物だからだ。
こんな現実に、
"FGOの紫式部"なんて存在するハズなんてないのに、
「キャスター紫式部…貴女の危機に応じ、参上いたしました。」
彼女は今、そこにいる。
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