中編
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美鶴は絶句した。
「前回の試みは、岳羽君のお父さんのせいで台無しになってしまったけど、10年間 ひそかに準備しながらリトライのチャンスを待っていたのさ。邪魔な君の父上、武治氏ももういない。今度こそ、うまくいく。世界を思い通りに作り直して、僕はその新世界の皇子となるのさ。」
幾月が両手を広げたまま、マントを翻し、舞い踊るようにくるくると回った。狂気の沙汰としか言えない。一同、唖然としてその姿を見つめた。
「お前はもう死んでいるだろう。」
真田があきれたように言った。
「僕が?・・・何を言ってるんだい?」
幾月はぴたりと動きを止め、不思議そうに真田の方に顔を向ける。
「覚えていないのか。お前は学園の天文台から落ちて死んだんだ。」
真田が厳しい声で決めつける。
「なにを馬鹿なことを・・・そんなこと・・・そんな・・・ばかな・・・」
幾月に動揺した表情が浮かんだ。そしてみるみる青ざめていく。
「そうだ・・・僕は・・あの時落ちて・・・」
次第に何かを思い出してきたのか、口を開けて凍り付いたように動きを止める。
やがて「あああああ」と声を張り上げながら頭を抱えてうずくまった。
皆が顔を見合わせる。
その時、突然、玉座の背後にある豪奢な扉がふっとんだ。重たい扉が地響きを立てて倒れる。同時に扉を失ったその奥からモルガナが転がってきた。
「モルガナ!」
倒れたモルガナに全員が駆け寄った。モルガナが体を起こして叫ぶ。
「気をつけろ!あれは・・・あれはオタカラなんかじゃねえ。宝箱に入ってたのはもっととんでもない何かだ。」
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