中編
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「さて、こういう危険な奴がいるなると、素直に正面から入るわけにもいかないからな。ついて来い。」
モルガナは宮殿をかこむ塀をまわりこんでいく。
しばらく行くと、太い木の枝が塀の内側から外に張り出している場所があった。
「吾輩の侵入ルートだ。あそこに吾輩を放り投げ上げてくれ。」
『彼』が言われるままにモルガナを放り上げると、器用に枝にしがみついたモルガナはそのまま枝を伝って塀の内側に向かい、姿が見えなくなった。そしてそのすぐ後に塀の上から縄梯子が下ろされてきた。
「いいぞ。上ってこい。」モルガナが声をかける。
「ええっ。ちょっ・・・あたしスカートなんだけど・・・」ゆかり が情けない声を上げた。
「じゃあそこにいるか。」モルガナが冷たく返す。
「うー・・・」ゆかり は口を尖らせてモルガナをにらんだ。
まず真田が軽々と上り、続いて『彼』も塀によじ登った。さらに今日はパンツスタイルの美鶴も躊躇無く上っていく。
最後に残された ゆかり がしぶしぶと上りはじめた。
真田が先に弓を引き上げ、『彼』が上から手を貸してくれる。苦労してようやく全員が塀の上に揃った。
「ジャージかなんかで来ればよかった・・・」
ぼやく ゆかり に「こんなことになるとは思わなかったからね。」と『彼』が笑いかける。
続いてモルガナは塀の反対側の木の幹を伝い降りていった。さらに真田、そして『彼』が降り、美鶴もてこずりながらなんとか降り立った。
「ええっ。これ絶対無理。」ゆかり が声を潜めながらも悲鳴を上げる。
「じゃあ受け止めてやるから、いっそのこと飛び降りろ。」真田が声をかけ、『彼』も手を広げてうなずく。
ゆかり はしばらく考え込んだ後、涙目になりながら「覗かないでよ。」と力なく言った。
中は庭園となっている。月明かりの中、モルガナに続き、木立に隠れながら宮殿に近づいていく。
やがてモルガナは井戸の側の抜け穴に潜りこんだ。中は四つん這いで進まなければならない。今度は ゆかり もあきらめたようにしんがりでついてくる。出た場所は屋敷内の厨房だった。。
そこからは宮殿の中だ。広い廊下を抜けて階段を上り、ところどころにあるホールを過ぎる。
先ほどと同じシャドウ・アイギスが時々巡回しているが、その隙をついてモルガナは身を隠しつつ着実に宮殿の奥へと案内していく。
途中、仕掛けのある扉や隠し通路などもあったが、すでに攻略済みだったらしくまったく留まる事が無い。
その手際の良さは、本格的な忍者かスパイ、もしくはプロの窃盗犯を思わせた。
モルガナは風花同様に、周囲の状況を感知する力を持っているらしい。
「まるでコソ泥になった気分だ。」
真田が言うと「コソ泥はやめてくれ。どうせなら怪盗と言って欲しいな。」とモルガナが返す。
「ふん。怪盗は気取り過ぎだろう。せいぜ
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