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ペルソナ3 ファタ・モルガーナの島(旧版)
前編
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「猫だな」
真田がぼそりと言った。
「猫・・・なのか?」
美鶴は判断に迷ってつぶやいた。
確かに猫と表現するしかない姿だが、しかしこんな猫はいない。子供向けの漫画か、ゆるキャラのような姿と言ったらいいだろうか。それがタルタロスの中で大の字になって倒れているのだ。
「シャドウ・・・じゃないですよね。死んでるのかな。」
ゆかりがそっと弓でつついていてみるが、全く身動きしない。
「ひょっとしてぬいぐるみ?」
【ゆかり ちゃん。なんだかわからないけど生きている反応はあるよ。気を失っているだけ見たい。】
風花から通信が入った。
「生きてるの? ・・・どうします?これにあんまり時間取られてると、死神が出てくるかもしれないですけど。」
ゆかり が当惑したように美鶴に尋ねてきた。
「そうだな・・どうするか・・・」
常にはっきりした決断をする美鶴ではあるが、さすがに判断に困り言いよどむ。
「ほっとけばいいだろう。こんなとこにいるこんな猫がまともな存在なわけがない。相手にしないほうが得策だ。」
真田は無視を決めたようだ。
(正論で言えば明彦の言う通りだろう。これ以上に関わることはリスクが大きい。)
しかし、この猫もどき の愛嬌のある顔を見ていると、このまま捨て置くことに迷いが生じてくる。
「どう思う?」
困った挙句、美鶴は『彼』に意見を求めた。しかし『彼』はその問いには答えず、無造作に『猫』を抱き上げた。
幼稚園児並みのサイズで軽そうだ。毛がふわふわしている。
「大丈夫なのか?」
「まあ、大丈夫そうです。とりあえず次のフロアへ移動しましょうか。」
彼は穏やかにそういうと、平然と階段の方に歩き出した。つられたように皆が後に続く。
階段を上ってさらに上のフロアへ。
そこで一同はさらにあっけに取られることになった。
外に出ていたのだ。
空には星が光っている。波の音に目を向けると海が見えた。海岸がすぐ目の前だ。緩やかに風が流れ、潮のにおいがする。
「えっ?なにここ。」ゆかり が驚きの声を張り上げた。
美鶴もあり得ない光景に呆然とする。
『彼』がスッと腕を伸ばし、前方を指さした。
「ムーンライトブリッジが見える。」
対岸に見慣れたフォルムの橋がかかっていた。
「そんな・・・ここはタルタロスの外なのか。・・・あれだけ塔を上ってきたのに、その上が地上に繋がっているというのはどういうことだ。」
美鶴は困惑して声を洩らした。
「風花。何かわかる?・・・・・・・風花?」
ゆかり が風花に呼びかける。しかし返事はない。通信は途絶えていた。
ゆかり が「だめだ」というように首を振って、みんなを見まわした。
「くそっ。どうなってる。嫌な予感がするな。」真田が眉をひそめる。
美鶴も予想外の事態の連続に戸惑い、不安を覚えていた。こ
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