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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第25話
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はまともな航空戦力がなく、それに輪をかけて水上戦力には乏しいはずだが、いったいどうやって地球連邦軍の水上戦力を撃破したというのか。
 地球連邦軍の艦艇は、武装ゲリラの鎮圧や海賊退治のためにミサイルよりも艦砲に注力していた。同格の仮想敵が存在しない地球連邦軍の水上艦艇においては、ミサイルよりは艦砲のほうが運用もしやすく財布にも優しかったからだ。ジオンお得意のミノフスキー粒子で誘導ミサイルを防げても、最初から無誘導の艦砲の砲弾には関係ないはずだ。ザクにまともな水上戦も水中戦もできないことはわかっている。ならば、いったいどうやって? まさか宇宙から洋上の艦艇にモビルスーツで直接タッチダウンしたとでもいうのだろうか。
 ありえない状況に困惑しきりのテムを脇に置いて、レビルは新しいデータを画面に映した。本来なら誰か適当に呼んでやらせればよい作業なのだが、今から流す映像は秘中の秘、それがたとえ自身の副官にすらも見せるわけにはいかない。そのためにこの会議室は人払いをしてレビルとテムの二人きりなのだから、レビルが手ずから作業するほかない。
 
「これも極秘だが、三月六日に欧州で反攻作戦が行われた。残念な顛末は、貴官も耳にしていると思うが」
「はぁ。確か、戦闘の余波で付近の坑道が崩落。崩壊した斜面から遺棄されていた放射性物質が漏洩し、現地に重大な汚染をもたらしたとか。わが軍は即時全面撤退、それでも重度の被ばくでかなりの被害が出た、と。一方のジオンはノーマルスーツのおかげで被害がほとんどないようだ、とも。事実上の南極条約破りだとか実は核兵器が使われたとかで互いに公式の抗議と非公式の協議をおこなっているとかいないとか」

 レビルの問いに対するテムの答えは民間のメディアと軍の公式発表、畑違いといえど軍人として耳に入ってくる噂の闇鍋とでもいうべきものだった。自然に集まった情報を並べただけのものともいえる。もちろん、情報を流す人間は何らかの意図をもってそれを行うため、取捨選択せず裏もとらない情報の寄せ集めは真実からほど遠いものとなっている。

「そうだ。そしてそれが真実ではないというのも、もうわかっているはずだ」
「……はい」

 嫌な流れである。鈍いテムでも気づくほどだ。レビル将軍には隠すつもりなどないのかもしれない、と勘違いしたくなるほどあからさまな話の流れ。知りたくないと言えればどれだけ楽なことだろう。

「貴官を宇宙から呼び戻したのは、この映像を見せるためだ」

 そうして見せられた映像に、テムは心の底から震えることになる。それは、たった一機の相手に三個師団が溶ける悪夢のような映像。

「これは……こんな……」
「この黒い鴉が反攻作戦を挫いた相手だ」
「……」
「我々の敵はジオン。RGMの敵はザクや先ほどの新型機。そしてRX−78の敵
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