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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第25話
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かばかしいものではなかった。
 地球連邦軍はモビルスーツの実戦配備を実現できていない。しかし、独自開発したRGM系列など、ジオンのザクにも引けを取らないモビルスーツを開発済みだ。実戦配備できていないのは、大量生産とパイロットの育成が終わっていないからだ。戦場に出せないだけで、すでにモノはある。今すぐとはいかないが、調達の目途も立っている。時は4月末、1月にジオン公国軍のモビルスーツに叩かれた地球連邦軍は、僅か3か月で新兵器の開発を終了した……わけはない。なんのことはない、RX計画は戦前から進められていたのである。そのためモビルスーツの開発は順調だが、包括的な反攻作戦であるV作戦全体としては微妙、という進捗状態になっている。
 戦争継続で軍内部をまとめ、政府もそれを承認した。だからこその南極条約だったが、肝心のV作戦の発動はレビルの想定を大幅に遅れて4月となった。V作戦の内容で揉めに揉めたからだ。
 RX計画は戦前から存在した。ジオンのモビルスーツの存在を連邦は把握していたからだ。ジオンのモビルスーツに対する連邦のRX計画である。にもかかわらず開戦と同時にジオンのザクにいいようにやられ、決戦たるルウム戦役で大敗し、コロニーの落下を許した。連邦軍上層部がモビルスーツの戦力評価を誤り、RX計画を試作機の開発のまま放置し、特に対抗手段も取らず、従来の戦術に固執したからだ。これ全て現在の連邦軍上層部の責任である。新体制で戦争継続が決まったということは、旧体制の責任が追及されるということでもある。このことで軍内部での熾烈な責任の押し付け合いがあったことは想像に難くない。新体制の掲げるV作戦に容喙することで利益を得ようという輩が現れるのも同じだ。コロニー落としの混乱の中で壮絶な派閥闘争、権力闘争が繰り広げられ、結局はV作戦の発動は4月。すでに地球連邦の版図から北米を失った後である。
 仮に4月が2月でも、北米陥落は変わらなかっただろう。それは技術屋に過ぎないテムでもわかる。それでもレビルが二ヶ月の遅れに固執するのは。

「レイ大尉」

 小声というほど小さくはない。しかし、テムにとってその声は聞こえたのが不思議なほど聞き取りづらく感じられた。

「欧州はもう限界だ」
「……」
「もとより旧ユーロ圏の戦力は高いとは言えない。撃退よりも可能な限りの遅延と戦力維持を命じていたが……それとていつまで持つか」

 現在のタイムスケジュールによれば、モビルスーツに乗せるための機種転換訓練や部隊への配備が完了するのが10月いっぱい。陸軍省の提案した補助計画を考慮すれば、全軍は無理でもある程度の数を7月中に用意できるだろう。それはつまり、反攻計画の見直しが必要になるものの、それでも7月からまともに戦うことができるということだ。V作戦の開始が二ヶ月早ければそれが
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