第25話
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す」
「……」
「ホバー推進というのは、いうなればスケートをしているようなもので、重心の低い車両型、船艇型ならともかく重心の高い人型のモビルスーツにとっては非常に不安定です。この状態では反動の強い武装は使えませんから、このような、無反動砲と小口径銃といった武装にする他ありません。不安定ですから動作にも制限が付きますし、それは射角にも制限が付くということです。この新型機は限定された武装と動作、戦い方しかできず、それはモビルスーツという兵器の持つ運用の柔軟さを失っています。速度というアドバンテージは一対一では大きな脅威となりますが、RGM系列で想定しているわが軍のモビルスーツの運用方法においては……」
レビルが指を立てた。待ちたまえ、あるいは、もうよい、という意味だが自分の作品にケチがつけられたと考えた技術者はとまらない。
「……そもそも既存の兵器に対するモビルスーツの優位性とは他の動物に対する人間の優位性に等しく、いたずらにそれを失うことは兵器としての優位性を欠くことに……」
「わかった」
「……他にもRX−77のデータを流用したRGCの開発が……」
「レイ大尉」
「……何よりもRX−78の完成がわが軍の勝利を確実なものと……」
「大尉」
大きくはないがよく通る声。万単位の兵士に戦って死ねと言える将校の声。人を従わせる事に慣れた声だ。さすがの技術バカも何をしていたかに気づき、青くなったり白くなったり。プロジェクターの操作端末を机に置くと、ぎくしゃくと椅子に座りなおす。
「レイ大尉」
「はっ」
「大尉の認識は正しい」
「はい。……はいぃ?」
「映像を送ってきた欧州方面軍も、解析した技術本部、参謀本部、陸軍省も同じ見解だった」
「はっ、はい。ありがとうございます」
「だが……」
レビルの視線が技術バカを貫く。
「それもこれも、モビルスーツを実戦配備してからの話だ」
「……ッ!」
連邦軍にもモビルスーツはある。だがそれは、現時点ではどれもこれも実戦に出せないものばかりで、つまりはモビルスーツがないというのと同義語だ。
無意味に小出しにするわけにはいかない。鹵獲され、研究され、対策を立てられてしまう。コロニー落としで限界ギリギリの地球連邦軍としては、数年がかりの長期戦は避けたい。故に反攻作戦は新兵器であるモビルスーツの大量配備、大量投入で一気呵成に片を付ける。それまでは通常戦力でジオン公国軍の消耗と足止めを考えていたのだが……
「遅すぎた。2月のうちに通せていればな……」
レビルの声は呻くようなものだった。
地球連邦軍の反攻計画、そのカギを握るV作戦。試作モビルスーツ開発計画であるRX計画と壊滅した宇宙艦隊再建のためのビンソン計画を中心とした再軍備計画だが、その歩みはは
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