第6話 それぞれの思惑
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物が焼け落ちました!!重症者多数!!」
「ヤルタからも!!!」
少し前から国内ではネオナチによる反移民運動が活発になっていた。
現在のドイツには一年間に十万人ものアラブ・アフリカ系移民が押し寄せており、治安は悪化。
警察も事件の容疑者が移民となると捜査を消極的に行い、メディアも容疑者を守る。さらに移民に対してあらゆる福祉や雇用が優先されるため、子供や老人に至るまで貧しく、失業者に溢れ、おまけに出生率はまるで地を這うようにまでなってしまった。
そんな状態が続き、国民は民主主義に限界を感じていた。いわゆる政治不信だ。
それに加えてベルリンで移民によるテロ事件が起きたことで国民の怒りはピークを越えていた。
ただでさえ、マズいその状況は自衛隊が『門』に踏み入れ、ショッカーと接触したことで悪化する。
見るからににナチ式敬礼そっくりなショッカー式敬礼。
一部の軍人が着ている軍服が旧ドイツ国防軍そっくりであるなど世界中の誰が見てもショッカーをナチス・ドイツの末裔だと答えるだろう。
それもそのはずショッカー自体、ナチス・ドイツ (それと一部の過激な旧日本軍関係者)の残党が世界の覇権を握るべく組織した秘密結社なのだから仕方がない。だがそんなことはこの世界では知られてはいなかった。ショッカーがあえて隠していたからだ。
日本が公表したショッカー世界の情報によるとショッカー世界は世界統一政府が実現しており、民族間の紛争は無く、教育や医療などの福祉サービスは誰もが平等なのだという。
これを聞いたドイツ国民の反応は様々であったが大半のものはショッカーとの国交樹立を望むものだった。
それらの中には「ナチズムは間違ってなかった」という極端なものまで見られるようになった。
ネオナチ団体はこういった世論を大いに利用した。こうしてデモという名の暴動が幕を開けたのだった。
連日、連邦首相府を取り囲むように覆面を被った市民がデモを行っている。
しかし、日本で行われるような「平和デモ」と違うのは参加者からは明らかに殺気がこもっていることだ。
ベルリンでは首相官邸に至るまでの通りにある商店のガラスは全て割られ、炎と煙が立ち上り、先程まで車が行き来していた道路にはバリケードが築かれていた。
デモ隊員は鉄パイプや火炎瓶、拳銃を持って機動隊を攻撃していた。中にはどこから手に入れて来たのか手榴弾を投げつける者までいて機動隊員の被害は拡大する一方だった。
昼夜を問わず怒号が響き、アスファルトは鮮血で染まる。ベルリンの中心地を怒号や悲鳴、銃声が支配する様は正に修羅場だった。
彼らは行進しながら口々に主張する。
「移民ではなく国民に権利を!!!」
「移民共を故郷に送り返せ!!」
「ゲルマン人の為だけの国
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