第1部
カザーブ〜ノアニール
師の願い
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んなで分けてください。
これって、もしかして……。
「まさか、この大きいのがユウリの分だったの!?」
どう見ても三〜四人前は入っているんだけど。これ全部ユウリに食べてもらうつもりだったんだろうか?
振り向くと、皆してユウリのお弁当に手を伸ばしている。
まあ結局みんなで食べてるからいっか。夢中になると周りが見えなくなるところは変わってないな。
「なに思い出し笑いしてんだ。気持ち悪い奴だな」
「ほら、これ見て。やっぱりユウリのことが好きなんだよ。この大きいのがユウリのなんだってさ」
「ふん。いいから早く食べろ。今日中にはこの山を越える予定だからな」
からかい混じりに私はいい放つ。こういうことに慣れてないのか、照れ隠ししているのが私にもはっきりわかる。こういう彼を見るのは新鮮でちょっと楽しい。
「ところでさ、ノアニールまであとどのくらいなんだ?」
地図を眺めているナギに尋ねられ、私は大体の場所を指差した。
「そうだね、この地図で見ると確かノアニールがここだから……」
「山道が多いことを考えると大体5日ってところだな」
ユウリが瞬時に答えを出してくれた。とりあえず食糧は多めに買い足してあるので困ることはないはず、だった。
今思えば、10年間ノアニールに異変が起きていることがどれだけ深刻なのかをもっと真剣に考えるべきだったのだ。
ただの調査で終わるつもりが、こんな大事になるだなんて、このときは誰も想像すらしていなかったのだから……。
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