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俺様勇者と武闘家日記
第1部
カザーブ〜ノアニール
師の願い
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ている大きめの荷物。
「そうだよ。随分張り切って作ってくれたみたい」
「おっきいねぇ〜」
 一人用と大人数用のお弁当箱が一つずつ、布製の袋に入れられている。おそらくユウリだけ特別なのだと思われる。
「お昼になったら、みんなで食べようよ」
「やった〜!」
 もう完全にピクニック気分だ。たまにはこういうのもいいな。
 村を出たあと、途中何度か魔物に遭遇したが、カンダタ一味を撃退した私たちの敵ではなかった。
 その上師匠からもらった鉄の爪の威力が想像以上に高くて、武器の重さなどほとんど気にならない。何しろ今まで出したことのない会心の一撃まで出せるようになったのだから、扱えた感動よりも驚きのほうが大きかった。
「いいな〜ミオ、オレも強い武器ほしいな〜」
「ナギだってロマリアで武器買ったじゃない」
「お前の方が入手方法がかっこいいじゃん」
「どういう理由なのそれ?」
「ねーねー、ユウリちゃん、お腹空いたー!! お昼にしようよー!」
「お前ら、少しは静かにできないのか? ……まあいい。ちょうど魔物の気配もないし、ここで一度食事にするぞ」
「やったー!!」
 ユウリの同意を得たシーラは、満面の笑みでエマの用意したお弁当の包みを開ける。
「この小さいのがユウリで、あとの大きいのが私たちのだよね、きっと」
 言いながら私はユウリに小さい方のお弁当を渡す。手にしたユウリは訝しげに私を見た。
「なんでこれが俺のなんだ?」
「え、いや、だって、朝食のときもユウリの分だけやたら多かったし……」
 エマってば、会う前から勇者であるユウリを気にしていたからなあ。昨日実物を見てますます好きになっちゃったんだと思う。
「そういえばお前の妹、夕べ俺の隣で何か喋ってたな。全く覚えてないが」
「えっ、覚えてないの?」
 確かに夕飯のとき、さりげなくユウリの隣に座って、飲み物を注ぎながら一方的に話しかけてた気がする。
「ひょっとしてユウリ、見た目の割にお年寄り並みの記憶力とか……?」
「そこの崖から落としていいか」
「ごめん、冗談だよ」
 あまりにも興味が無さすぎるのでつい意地悪で言ったつもりだったが、ユウリの目は本気だった。
「いーから早く食べようよぅ!」
 待ちきれないとばかりにシーラが、目の前の大きなお弁当箱の蓋を開ける。中には何種類ものおかずやサンドイッチがぎっしり入っていた。
「うわぁ、美味しそう〜!!」
 言うやいなやシーラはサンドイッチに手を伸ばし、ナギも目を輝かせながら鶏肉の唐揚げを頬張る。
 すぐになくなりそうだったので私も急いで食べようとしたとき、お弁当箱の隙間に手紙のようなものが挟まっているのに気がついた。
 開くと、エマの字でこう書いてあった。
ーユウリさんの分、たくさん作りすぎてしまったのでみ
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