第1部
カザーブ〜ノアニール
師の願い
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あ自分だけじゃなく、他の人の未来も見えるってことなんだね! すごいじゃんナギ!」
私は目を輝かせて言った。ナギはまんざらでもない様子でふんと鼻を鳴らした。
「まーでも、見たいときに見れないのが難点だよね〜」
「それに内容が抽象的過ぎて忘れちゃうよね」
「なんだよお前ら! 散々上げといてから一気に落とすんじゃねえよ!」
シーラと私の鋭い指摘に、長くなりかけたナギの鼻がぽきっと折れた。
ユウリと違って、ナギだとこういう冗談も言えるからつい言い過ぎちゃうんだよね。気をつけよう。
私たちはひとつ残らず朝食を平らげると、お母さんとエマにお礼を言った。
ユウリもあんな態度をとってはいたが、エマが作った分のお皿も残さず食べていたので、エマはとても喜んでいた。
「もう出発するのかい?」
「うん。これからノアニールに向かうから、早めに出るつもり」
「ノアニール……。そういえば昨日言ってたよね。何でまたそんなところに?」
私は二人に事情を話した。すると、ノアニールがそんな事態になってることを知らなかったようで、二人は顔を見合わせた。
「なんだか心配だね」
エマが言うと、お母さんは意を決したように私たちの方を見た。
「そんな遠いところに行くんなら、途中でお腹空くだろ。ちょっと待ってな。今から急いでお弁当作ってあげるよ」
「え、いいよそんな無理しなくて」
「ダメだよ! 食事はちゃんととらなくちゃ! 生きてく上で健康が第一なんだよ!」
お母さんにぴしゃりと窘められ、小さくなる私。隣でユウリが小さく呟いた。
「親が親なら子も子だな」
「? 何か言った?」
ユウリはなにか言いたげな顔をしたが、それきり無言だった。
日が高くなりはじめた頃、私たちは皆に笑顔で見送られながら、実家を後にした。
途中で村の教会に寄り、神父さんに夕べお墓を掘り起こしたことを謝ると、神父さんは怒るどころか、私が来ることを察していたようだった。
「フェリオさんからお話は伺っています。自分の弟子にどうしても渡したいものがあるからと。もしお墓を掘り起こしても、咎めないでくれとおっしゃっていましたよ」
師匠の優しさに、私は胸を打たれた。そこまで気にしてくれてたなんて。
「そうだったんですね。ありがとうございます」
私は神父さんにお礼を言うと、教会を出た。道具屋で旅支度を済ませ、村の反対側の出入り口へと向かう。
「もう出発しちゃって平気なのか?」
「うん。アリアハンに旅立つときにもうお別れの挨拶しちゃったし、それにあんまり長くいても別れるのが惜しくなるだけだもん」
平気と言えば嘘になるが、私だけ家族や村の皆にいつまでも甘えるわけにはいかない。
「ミオちん、その荷物って全部お弁当?」
シーラが気になっているのは、私が持っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ