第1部
カザーブ〜ノアニール
師の願い
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てくれた。
私は二人に鉄の爪を見せようと持ってきたのだが、寝起きだからか微妙な反応。夕べのことを説明し、ナギの問いに私がうなずくと、ナギは訝しげな顔をした。
「でもお前、今まで素手で戦ってきたんだろ? 使いこなせるのか?」
「多分大丈夫だと思う。修行中、爪を使った武器の訓練もやって来たから」
ただ問題は、爪だと武器を装備している分、動きが若干鈍くなることだ。師匠程にもなると、その重さを逆に利用したりするけど、爪での実践経験ゼロの私にはそこまでの技量もない。とりあえず慣れるまで経験を積むしかないんだろうな。
「はい、おまたせ。ポトフと焼きたてのパンだよ」
エマが再び皆の分の食事を運んできてくれた。テーブルに所狭しと並べられた朝食を眺め、私は自分がいない間に培われたエマの家事能力に感動していた。
「こんなにたくさん、頑張ったね。エマ」
私が絶賛すると、エマはふふっ、とはにかんだ笑みを浮かべ、ちらっとユウリの方を見た。よく見るとユウリの周りのテーブルだけ、異常な量の食事が置いてある。
「ユウリさん、これ全部私が作ったんですよ。是非召し上がって下さいね」
そういうと彼女は、家でも滅多に見せたことのないとびきりの笑顔をユウリに向けた。だがユウリは彼女の方を見ることなく、一言ああ、と返すと、黙々と食事を続けた。
ユウリってば、あんなにあからさまに好意を寄せられているのに、なんて反応が薄いんだろう。我が妹ながら、少し可哀想になってくる。
「ところでミオちん、ゆーべ幽霊見たってホント?」
「えっ!? いきなり何?」
突然シーラが尋ねてきたので、私はパンを取り落とした。
「だって、あたし幽霊なんて見たことないからさ、どんな感じなのか気になって☆」
「そ、そんなに興奮すること?」
「だって、滅多に体験できないことだよ? いーなー、うらやましいなぁ、ミオちん」
いやいや、全然うらやましくなる要素なんてないんですけど。出来ればもう二度と体験したくない。シーラはお化けが怖くないんだろうか?
「ねー、ナギちんも見たいよね?」
話を振られたナギは、どことなく苦い顔をしている。
「別に幽霊には興味ないけどよ……。なんか今お前が言った話、それ夢で見たわ」
「は? あ、ひょっとして……予知夢?」
「そ、多分な。前ロマリアで、墓場でおっさんの幽霊見たって言ったろ? それミオのことだったんだな」
「あー、そう言えば言ってたね。でもナギ、懐かしい感じするとか言ってなかったっけ?」
「それはオレじゃなくて、ミオの目線で感じたからだと思う。実際目が覚めたときは何も感じなかったし」
確かに夢だと楽しかったり、怖かったりとか感じるときあるけど、朝起きて思い起こしたりすると全く関係ない感情だったことってある。
「じゃ
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