第2章 項羽と劉邦、あと田忠 〜虞兮虞兮、奈若何〜
第10話 阿弥陀の数だけ強くなれるよ
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州閥が蔓延ることだけは防がねばならない。
彼女は田忠たちを使いつぶすつもりである。その采配は正しい。だが、どんなに無理な命令をしても、田忠は飄々と生還してくる。
そこで、アプローチを変えてみた。新たに入隊した素行不良者ばかりを集めて田忠に押し付けたのである。やつらが失敗しようとかまわない。失敗した責任を田忠にかぶせればいいのだから。
その、はずだった。
『阿弥陀の数だけ強くなれるよ
馬車路に咲く 曼荼羅のように』
『末法の世に おびえないで
浄土は来るよ 君のために』
城にまで戦場から帰還した田忠軍の行軍歌が響いてくる。たしか『闘猛狼』という戦歌である。明日を歌う希望に満ち溢れた勇ましい歌だ。
張良は歯噛みした。
凶賊を宛がってまで失態を誘発しようとしたのに、何を間違ったのか一向宗なる仏教集団を形成していた。
さしもの張良も脳が理解を拒んだ。わけがわからない。
「はあ、いずれにせよ田忠を早くなんとかしないと……。項羽を倒した後の方が大事なんだから」
猫耳フードを目深にかぶるとため息をつくのだった。
彭越がつくったこの仏教集団こそ、後漢末、独逸第三帝国と血みどろの争いを繰り広げた一向宗のルーツとなった。「南無阿弥陀仏」と唱えながら死を恐れず突撃してくる彼らを諸侯は、黄巾賊と並び恐れた。
曹操総統をして「うんざりするほど手強く戦った」と評したほどの武闘派集団として発展していくのである。
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