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【お試し版】もしも十二国記の転生者が王になったあと蝕で真・恋姫?無双の世界に流されたら?A
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と、偉丈夫――舜国左将軍は満足気に頷いた。


「ありがとうございます。主上捜索への一筋の光明が見えました。急ぎ王宮へと戻らねば!」
「いやまて、本当に存在するかは分からないぞ?」


 声をかけるも、礼を失さない程度にかけていくと騎乗して飛び去っていくのが見えた。
 彼の従卒たちが一糸乱れず後を追う。全員騎獣が白で統一されている。左将軍ご自慢の白馬義従を陽子たちは遠目に見送った。
 思えば、偽王の乱では彼らに世話になった。尚隆がぽつりと言った。


「それしても即断してから行動が早いな。さすがは公孫?だ」
「思いつきでいったんだけど、大丈夫だろうか」
「ははは、陽子だからこそ思いつけたんだろう。俺も異世界とは思いもつかなかった」
「やめてくれ。まだ実在するかもわからないのに」
「公孫?は実在するがな!」


 言ってみたものの、三国志を知らない陽子にはあまりピンとこなかったようだ。
 事実公孫?は実在する。いや、していた。陽子たちの世界、崑崙つまり中国の地で。はるか2000年以上昔に。初めてその名を聞いたとき尚隆は仰天したものだが。
 しかし本人ではない。同じように徇王によって名付けられた者たちが舜には大勢いる。
 徇王の名を聞いたとき尚隆は、思わず納得したものだ。その名を――張角。
 

 その後、本当に異世界が発見され陽子の元に莫大な謝礼が送られてくることを彼女は知らない。
 その額は慶国の国家予算を優に超える額であり、意図せず陽子の政権支持につながることとなる。
 5年後、徇王発見および帰還の際には前を上回る謝礼が払われ、冢宰の浩瀚が驚く顔を初めて見たと陽子は語った。

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