揺籃編
第十九話 巣立ちの準備
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心を満たして帰ってきた事だし、いい事づくめさ」
「…一歩間違えれば死ぬとこだったんですがね」
「何かを得るには、何かを失うものさ」
「ほら、言っただろう?先輩でなければ友達を止めているだろうって。これから君も苦労するぞウィンチェスター。有能な軍官僚はとてつもなく腹黒いんだ。可愛い後輩をダシにして不正を暴こうとか、友達が聞いて呆れるだろう?」
「お二人共仲が本当にいいんですね…ケーフェンヒラー大佐には私も話を聞いて見たかったです。私も歴史が好きなので」
「ヤン、同好の士が出来て良かったじゃないか。しかし、何故ケーフェンヒラー大佐の話を聞きたいんだ?」
「アッシュビー元帥の死は謀殺…ではないのですか?」
「何故それを…ヤン、お前さんが話したのか?」
「いえ、話してませんよ」
「…噂はすぐに伝わるものです、キャゼルヌ中佐。何でも、投書があったとか」
「…内容については明言出来ないが、確かに投書はあった」
「後はキャゼルヌ中佐自身が話された通りではありませんか?ヤン自身も歴史的探求心を満たして帰ってきた、と仰ってましたよね。歴史的探求心を満たすには資料や歴史の生き証人が必要です、それがケーフェンヒラー大佐だったのでは?」
「参った。お前さん、本当にすごいな。これは確かに紹介したくなる友人だ。よかったな、ヤン」
「ええ、エル・ファシルでも助けてもらったし、本当に得難い友人ですよ」
全部知っている立場としては非常にこそばゆいぜ。もうモブキャラじゃなくて準レギュラーの立ち位置だな。…早く卒業してえなあ…。
789年5月10日 バーラト星系、ハイネセン、テルヌーゼン市、自由惑星同盟軍士官学校
野戦演習場 オットー・バルクマン
「立て!学年主席が聞いて呆れるぞ」
「おのれ…油断しただけだ!」
アンドリュー・フォークは事ある毎に俺たちに絡んでくる。今だってそうだ、学年が関係ないカリキュラムで、講義の日程が合うと必ず絡んでくるのだ。
今は白兵戦の講義中だ。今日は実際に装甲服を着て行う白兵戦技実習が行われている。陸戦隊にだって指揮官や参謀は必要だからな、当然卒業後は陸戦隊に行く者もいる。実際に自分自身が戦う必要が無かったとしても、戦えない指揮官や参謀はバカにされる。下士官達にバカにされない程度に、ある一定の白兵戦技能は身に付けなきゃならない、という訳だ。
ローゼンリッターに行ってたマイク程ではないが、俺やヤマトだって白兵戦技は不得意じゃない。陸戦専門の戦科学校程ではないが、下士官術科学校のカリキュラムの半分は白兵戦技訓練だった。もちろん装甲服を着用しての戦技実習もたくさんあって、団体戦技トーナメントや個人戦技トーナメントもあるくらいだから、手を抜く奴等はほとんど居なかった。
「…お前、どうしてそんなに俺達に絡
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