第8章:拓かれる可能性
第239話「幽世の意地」
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「―――ッ!?」
「……制御するまで、そのまま放てばいいだけの事だよ」
だが、寸前で神は飛び退き、とこよを中心に光の爆発が起きる。
制御しきれない余剰な神力を、そのまま解き放ったのだ。
「何のために、誰もいない海上に来たと思ってるの?」
「周りに被害を出さないためですか……」
素戔嗚が海神なため、本領を発揮する事が出来るという理由もある。
だが、一番の理由は周囲への被害を減らすため。
なぜなら……
「……私自身、ここまで強くなるのは想定外だからね」
「ッ……!」
矢が神の頬を掠める。
式姫の思兼は弓矢を使い、それを降ろしたとこよがその弓矢で攻撃したのだ。
「長くは持たない。悪いけど、こっちこそ圧倒させてもらうよ」
「生意気ですね……ならば、これはどうです!」
直後、とこよの背後から“天使”が一斉に襲い掛かる。
同じ“圧倒の性質”を持つ“天使”達なため、一人一人が強い。
「無駄だよ」
「がぁっ!?」
だが、とこよはそれを上回った。
月読の神力で攻撃を逸らし、伊邪那美の神力で雷の如き光を当て、最後に天照の神力で太陽の如き熱を放出、一気に“天使”達を吹き飛ばす。
「日本の神を……私達陰陽師を、舐めないで!!」
「なっ……!?」
それは、まさに時を止めたかの如き速度だった。
どこからともなく飛んできた刀を掴み、“天使”達を斬りつける。
……海に来たもう一つの理由が、これだ。
刀を弾き飛ばされたあの時、とこよは刀が海の方へ飛んで行ったのを見ていた。
手元に戻す術式を刻んでいたため、こうして海に来ればすぐに回収できる。
降ろした神の武器よりも、やはり馴染みある刀の方が扱いやすいからだ。
「(体が引き裂かれるみたい……でも、倒れる訳にはいかない。私達が負ける訳にはいかない。なんとしてでも……勝つ!!)」
最早、執念に近い意地だった。
幽世の守護者として、一介の陰陽師として、とこよは意地で多重神降しの負荷に耐え、制御し、戦っていた。
「かかってきなよ……!全員いっぺんに相手してあげる……!」
刹那、全員の姿が掻き消える。
火花と衝撃波が迸り、海面がクレーターのように凹む。
「ッッ……!」
吹き飛んだとこよが海面を滑るように着地する。
直後、とこよを追撃しようとした“天使”が背中を斬られる。
とこよが追撃を躱し、同時に斬りつけたのだ。
「はぁっ!!」
さらに、天照の炎と建御雷の雷を合わせた一撃を別の“天使”に叩きつける。
「ふッッ!!」
「……ありえない……!“性質”を以ってしても、戦えるなど……!?」
“圧倒の性質”は
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