第五十七話 新大陸を目指して
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ほど上手い。
(……早く出てってくれないかなぁ)
と、アニエスが始祖ブリミルに願おうかと思っていると……
「はっ!?」
マクシミリアンが、ビクッと震えると辺りを見渡した。どうやら正気に戻ったらしい。
必然というべきか当然というべきか、隣のアニエスに気が付いてしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
目と目が合い、二人は無言のまま固まった。
「……ごめん」
「……き」
「き?」
「きいいいぃぃぃやあああぁぁぁぁーーーーっ!!」
湯船からの立ち上がりざまの右ハイキックが、マクシミリアンの左のテンプル(側頭部)を綺麗に捉えた。
マクシミリアンは意識を刈り取られる直前に、各部が良く実ったカトレアとは別種の健康的なアニエスの裸体をハッキリと見た。
呻き声を上げさせず、一発KOされたマクシミリアン。
一方のアニエスは、白目をむいて倒れているマクシミリアンを見て正気に戻った。
「だ、大丈夫!?」
「きゅう……」
慌てて近づくと、マクシミリアンは完全にノビていた
王子を蹴り倒すなど、如何なる理由があろうとも許されるはずは無い。
「て、手討ちにされるかも……!」
自分が仕出かした事に恐怖を覚え、アニエスはマクシミリアンを解放しようとすると、背中のドアの先、脱衣所から殺気を感じ取った。
「はっ!?」
ドアがギギギと開くと、そこには執事のセバスチャンが立っていた。
「あうあう……」
「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
劇画調のセバスチャンの迫力に、アニエスは金縛りに掛かったように身動き一つ出来なくなった。
その時、アニエスの脳裏にコマンド隊隊長ド・ラ・レイの言葉が浮かび上がった。
以前、国内で誰が一番銃火器の扱いが上手いか……という内容で場が盛り上がった時にド・ラ・レイが語った内容だ。
ド・ラ・レイ曰く。
『マクシミリアン王太子殿下御付の執事、セバスチャン殿がトリステイン一の達人だ。コマンド隊の精鋭が数人掛りでも逆に制圧されるだろう』
と語った。
元メイジ殺しのセバスチャンが、殺気を迸らせアニエスの目を見据えた。
「……あの、これは」
「……」
セバスチャンは恐怖にすくむアニエスを無視して、倒れたマクシミリアンを抱きかかえると風呂場から出ようとした。
「ミラン様」
そして、出てゆく際にセバスチャンが言った。
「は、はい!」
「ミラン様、このたびの一件、主君に成り代わって謝罪させていただきます」
「へ? あ、いえ、手討ちにされても文句は言えませんので……」
「寝惚けていたとはいえ、ミラ
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