第四章
[8]前話 [2]次話
「これからじゃ」
「ああ、蚊帳をじゃな」
「めくってじゃ」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「確かめるか」
「どういったものか、どうすれば化かすのを破れるか」
「そうするか」
「今からな」
「しかしじゃ」
ここで岡田は龍馬に言った。
「めくってもめくっても蚊帳が出て来てじゃ」
「話ではそうじゃな」
「しかも戻っても蚊帳がある」
そうしてもというのだ。
「そうしたものらしいのう」
「ああ、それはな」
岡田は龍馬の今の言葉に応えた。
「武市さんも言ってたな」
「そうじゃな、だからな」
「それでか」
「それならぜよ」
龍馬は岡田に笑って話した。
「前に行くだけぜよ」
「そうするんか」
「そうぜよ、以蔵さんはどうする」
「わしはもう決めてるわ」
笑ってだ、岡田は龍馬に答えた。
「おまんと一緒におるんじゃ」
「それならか」
「おまんと一緒に行くぜよ」
「そうしてくれるか」
「例え火の中水の中でもじゃ」
岡田は龍馬に笑ったまま話した。
「ついて行くわ」
「そうしてくれるか」
「おう、行くか」
「以蔵さんの命預かった」
龍馬も岡田に明るい笑顔で話した。
「今はのう」
「若し狸が出て来たら任せるんじゃ」
その狸が襲ってきたらというのだ。
「わしがな」
「切るか」
「龍馬さんに何かしてこようもんなら」
刀の柄に手を当てての言葉だった。
「わしがじゃ」
「狸を切り捨てるんじゃな」
「そうするきにのう」
「ははは、狸は人を化かしてもじゃ」
それでもとだ、龍馬は岡田に笑って話した。
「それでもじゃ」
「襲いはせんか」
「狸や狐は人は襲わん」
そうしたことはしないというのだ。
「別にな」
「そうしたもんか」
「そうした話は日本では聞かんわ」
日本の話にはないというのだ。
「どうもな」
「そうなんじゃな」
「そうじゃ、だからな」
「わしが出ることはないか」
「以蔵さんの命預かるっていうのも大袈裟じゃ」
自分が今言ったこの言葉もというのだ。
「それで言ったんじゃ」
「そうした言葉は」
「はったりじゃ、帰ったらな」
その時にというのだ。
「今度は鰹を食うか」
「鰹か」
「たたきでのう」
「おお、いいのう」
鰹のたたきと聞いてだ、岡田は笑って応えた。
「ならか」
「おう、命預かってな」
「帰って鰹をじゃな」
「武市さんと三人で食うぜよ」
「ならな」
岡田は龍馬に応えた、そうしてだった。
龍馬は次の蚊帳をめくって前に進んだ、岡田はその龍馬に従った。そして前に進むとそこにまただった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ