第三章
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「だから須崎には行けぬ」
「そうじゃな」
「刀は必要ないというが面白そうじゃ」
岡田がここで言ってきた。
「わしが一緒に行ってもいいか」
「以蔵さんがか」
「おう、あかんか」
「いや、一緒に行くぜよ」
龍馬は岡田に鷹揚に笑って返した。
「以蔵さんも一緒なら道中退屈せんきにのう」
「ならじゃな」
「今から一緒に行くぜよ」
「おう、途中何か美味いものでも食うか」
「そうじゃな、鶏がいいか」
「軍鶏か」
「鶏はあれが一番美味いぜよ」
軍鶏、闘鶏に使うこの鶏がというのだ。
「だからぜよ」
「途中軍鶏があればか」
「鍋があったら絶対にじゃ」
「食うか」
「そうするぜよ」
「そうか、ならな」
「ちょっと家に出て来るって行ってから行くぜよ」
こう言ってだった、龍馬は岡田と共に武市と暫しの別れの挨拶をしてから自分の家に行って乳や兄達にちょっと出て来ると言ってだった。
須崎に向かった、その道中彼の望み通り鶏を食ったが。
道を歩きつつだ、彼は共に鶏を食った岡田に話した。
「ええ鍋じゃったのう」
「軍鶏じゃなかったがな」
岡田も龍馬に笑って返した。
「美味かったのう」
「お陰で元気が出たぜよ」
「やっぱり美味いもんを食うのがな」
「一番元気が出るぜよ」
「そうじゃな、江戸では美味いもんはあったか」
「まっことあったぜよ、軍鶏も美味かったが」
龍馬は岡田に江戸の食いものも話もした。
「蕎麦がよかったぜよ」
「蕎麦か」
「おう、あっちでは噛まんと飲み込むぜよ」
「蕎麦を噛まんか」
「そうぜよ、喉ごしを味わうぜよ」
「また変わった食い方じゃな」
岡田は江戸の蕎麦の食い方についてこう言った。
「噛まんとは」
「これがまた実にじゃ」
「美味いか」
「そうぜよ、喉を蕎麦が伝わるそれがな」
実に、という言葉だった。
「美味いぜよ」
「成程のう」
「あと鰻とか寿司とか色々あってじゃ」
「寿司?馴れ寿司か」
「握り寿司じゃ、それも美味かったぜよ」
「そうか、一度食ってみたいのう」
岡田は龍馬から江戸の食いものの話を聞いて心から思った、そうした話をしつつそのうえでだった。
狸が出るという道に向かった、そして夜まで途中の店で時間を潰してその道に夜に行くと実際にだった。
蚊帳が釣られていた、龍馬はその蚊帳を見て言った。
「おお、これはじゃ」
「実際にじゃな」
岡田もその蚊帳を見て言った。
「釣られてるな」
「何処に釣るとこがあるぜよ」
「木に釣ってるか、しかしな」
「話は聞いちょったが実際に道に釣られてるの見るとぜよ」
「これまた面妖じゃな」
「全くぜよ」
龍馬は岡田のその言葉に頷いた。
「そう思うぜよ」
「本当にそうじゃな」
「それで
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