第二章
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「祖父ちゃんはそれだけだ」
「そうなんだ」
「果たしているかどうか」
その一貫小僧がというのだ。
「この目では見てなくて今もいるかはな」
「知らないんだね」
「どうもな、しかしお前が大きくなってな」
それでとだ、祖父は孫に話した。
「大山の裏に行くことがあったらな」
「僕自身でだね」
「行って確かめてこい」
「そうするね」
澄夫は祖父にあどけない顔で約束した、昭和五十年代高度成長はもう昔のことになっているがまだ日本の古いものが残っている時代のことだ。
澄夫は広島の大学に行ってそこで就職し家庭も持った、祖父は祖母と共にずっと畑仕事をしていて平成になってかなり経ってから祖母の死を看取って自分も静かに息を引き取った。家はは澄夫から見て従弟にあたる者が継いで祖父の畑をかなり大きくし。
富農と言っていいまでになった、それで実家に家族と共に帰ってきた澄夫に明るく笑ってこんなことを言った。
「いや、ここで畑耕してな」
「暮らすこともか」
「悪くないさ、最近じゃな」
従弟の昭夫は澄夫に笑って話した、澄夫は四十代になって髪の毛が額からかなり減った、面長で細い目のある色白の顔にも皺が目立ってきている。昭夫は昭夫ででっぷりと太って腹が目立ってきている。
「インターネットもあるし車でちょっと行ったらな」
「スーパーもあってか」
「鳥取は確かに辺鄙でもな」
それでもというのだ。
「結構楽にな」
「暮らせるんだな」
「ああ、快適だよ」
「それは何よりだな」
「ただ最近太ってな」
昭夫は自分からその身体の話をした。
「それでな」
「奥さんに言われるか」
「痩せたらってな」
「畑仕事していても太るんだな」
「何しろそれ以上に食うからな」
畑仕事で身体を動かす以上にというのだ。
「だからな」
「それでか」
「ああ、この通りな」
自分の腹を摩りつつ従弟に話した。
「どんどんな」
「太ってきたか」
「そうなんだよ」
「健康には気をつけろよ、僕だってな」
澄夫は茶を飲みながら話した、二人共今は縁側で昭夫の畑で採れた西瓜と冷えた麦茶を楽しみながら昼下がりの談笑を楽しんでいるのだ。
「会社の健康診断受けてな」
「健康に気をつけてるか」
「ああ、髪の毛はこうなったけれな」
すっかり抜けたがというのだ。
「コレステロール以外はな」
「大丈夫か」
「血糖値も乳酸もな」
「そうなんだな」
「だからこんなもな」
今住んでいる地域の方言がついつい出た。
「気をつけんしゃい」
「そこで広島弁か」
「もう二十年以上住んでるからな」
「出たか」
「鳥取弁かなり忘れたよ」
「そうなんだな」
「ああ、それでな」
ここでだ、澄夫は思い出したことがあった。それでそのことをその
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