第78話『水着』
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それを一瞥して、また目をそらす。ダメだ、これ以上は心臓がもたない。
「おやおや、晴登君ったら顔が真っ赤だね〜」
「そんなに結月ちゃんの水着姿が気に入ったのかな〜?」
「う……」
顔を背けていた晴登を、莉奈と大地がここぞとばかりにいじってくる。しかし、それが嘘だとも言えないから反論ができない。おかげでやられ放題だ。
「晴登もいい反応だし、なら結月ちゃんはその水着にしよっか」
「うん、そうだね」
晴登が気に入ったのであれば、結月がこの水着を着ない理由はない。なんと照れくさいことか。
しかし逆に考えると、晴登は再び結月のこの水着姿を拝むことができるようになる。そう察すると同時に、密かに高揚してくる自分もいた。
「じゃあ次は晴登の水着いってみよー!」
「「おー!」」
「いや勝手に進めないで!?」
こうして、5人の水着選びが着々と進んでいくのだった。
*
「みんなお疲れ〜!」
夕焼けが空を彩り、これから帰路につこうという時に、莉奈が元気よく言った。これにて、水着選びは終わりである。各々新しく水着を買い、これで林間学校への憂いも無くなった。
「疲れた〜」
「散々だったな晴登」
「全くだよ…」
まさか晴登の水着選びだけあんなに時間がかかるとは。一体何着試着させられただろうか。これは主に結月と莉奈のせいなのだが。
「途中で変なの履かされてなかったか?」
「それは全部莉奈のチョイスだ。悪意しか感じなかったよ」
「む、酷いなぁ。私だって晴登に似合うと思って・・・」
「それだと余計にタチ悪いな」
カエル柄だとかドクロ柄だとか、そんな水着が本当に似合うと思っていたなら、腕の立つ脳外科をオススメしたいところだ。何度水着を放り投げようと思ったことか。
「私は可愛いと思いましたけど」
「戸部さん、その褒め言葉はあんまり嬉しくないよ…」
「ボクは面白かったよ」
「それもそれで嬉しくないな…」
優菜と結月が慰めの言葉をかけてくれるが、後世まで語り継がれるであろう今日の黒歴史の前ではあまりに無力。あの時はもう、穴があったら入りたいくらいの最悪の気分だった。それでも、莉奈と違って結月はまともな水着を選んできてくれたから、何とか穴に入らずに持ち堪えたのである。
「良かったな、最終的には決まって」
「うん、これは俺も気に入ったよ。結月、ありがとう」
「ボクの水着を選んでくれたお礼だよ。気にしないで」
結局、晴登が選んだのは柄の少ないシンプルな青色の水着だった。これくらいが気軽に着れて丁度いいと思う。結月の水着の色と被ったのはたまたまなのだ
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