第78話『水着』
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そういや大地は初めてだったか。こちらは戸部さん」
「初めまして。鳴守君…ですよね?」
「どうして俺の名前を?!」
「莉奈ちゃんから聞いています」
ニコリと微笑む優菜とは対照的に、驚きを露わにする大地。その後、彼は晴登と肩を組んで後ろに振り返る。
「お前、いつの間に知り合ってたんだよ!」
「莉奈と帰ってる時にたまたま会って、その時 友達になったかな」
「コミュ障のお前がか? 運の良いやつめ」
「あはは…」
大地が何だか悔しそうにしている。これは、部活の合宿の時にも会って話してデート紛いのことをしたことは隠しておいた方が良さそうだ。面倒なことになる気がする。
「2人でコソコソ何喋ってんの?」
「いや、何でもない。…コホン。改めまして、俺は鳴守 大地。以後よろしく」
「戸部 優菜です。こちらこそよろしくお願いします」
「やべぇ、美少女と会話すると緊張するな…」
「声に出てるぞ」
晴登は冷静にツッコみつつ、話が脱線していることに気づいた。
今日ここに来たのは合コンのためじゃない。水着を買いに来たのだ。
「それじゃ、俺たちも水着を買ってくるからこの辺で・・・」
「え、この際 一緒に選ぼうよ」
「えっ!?」
晴登がその場を後にしようとすると、莉奈に引き止められる。
待て待て、さすがに水着を買う時は男子と女子は普通分かれるものじゃないか?
「いや、さすがにそれは・・・」
「結月ちゃんも晴登に水着選んで欲しいよね?」
「うん」
「ほら」
「いや、『ほら』じゃないから。ていうか即答かよ」
晴登が断る理由はただ一つ、"恥ずかしいから"であることに他ならないのだが、莉奈も結月も気にしていないように見える。というか、むしろ望まれてる。
その時、晴登の肩に手が置かれた。
「いいじゃんか、女子の水着を選ぶ機会なんてそうそうないぞ?」
「いやけどよ…」
「煮え切らない奴だな。向こうからお願いされてるんだから、素直に受け取っとけよ」
「そういうもんか…?」
半信半疑の晴登に、大地は「そういうもん」と呆気なく返す。
ここまで言われてしまうと、断る方が逆に不自然だ。流れに乗るしかない。
「わ、わかったよ」
「決まりね。それじゃ早速、結月ちゃんの水着を選んで行こう!」
「「おー!」」
「お、おー」
みんなの声に、晴登の声が小さく重なった。
*
結月が水着を試着することになり、更衣室に入っている間、晴登は優菜に話しかけた。
「戸部さんと結月はいつから知り合いなの?」
「いえ、今日初めて会い
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