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Sword Art Online -Gun Sword-
Sword Art Online
prologue
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待ち望んだ。ことにアミューズメントセンターでは運営の難しいRPG、それもネットワーク対応型のものを。
 ナーヴギアのNERDLES環境で動くオンラインRPG、それこそまさに前世紀から多くのゲーマーが夢想した究極のロールプレイングゲームの姿だ。その市場は途方もない規模になると予想され、立て続けにいくつものタイトルがアナウンスされた。だが、フィールド限定型のアクションやシューティング系のゲームとは違い、RPGともなればその世界を構成するデータの量は膨大なものとなる。発売時期はどのタイトルも未定、雑誌やネットで発表される先行スクリーンショットにゲームマニアが煩悶とする日々が続いた。
 二〇一二年春。あるゲームタイトルが発表され、即座にベータテストが開始されたことはファンの度肝を抜いた。開発したのは、かつて業務用NERDLESゲームで日本中のゲーマーを熱狂させた〈アーガス〉という大手メーカーだった。報道によれば、アーガスは業務用ゲームの開発が終了した直後から、まだ存在もしなかったコンシューマ機器用ゲームの開発を始めていたという。
 それにしても、二年たらずの開発期間を経て姿を現したそのゲームの規模は途方もないものだった。舞台は、空に浮遊する巨大な城。プレイヤーはそこで戦士や職人となって、協力や敵対をしながら最上部を目指す。RPGには必須と思われていた〈魔法〉の要素は大胆に排除されていた。ゲームの主役は無数とも思えるほどに設定されたさまざまな種類の刀剣と、それらに与えられた剣術体系だった。戦士を目指すプレイヤーはひとつの武器を選び、それを修練することによってさまざまな剣技を習得してゆく。職人プレイヤーは鍛冶、冶金の技を鍛えて剣を生み出し、商人プレイヤーがそれを流通させる。
 そのゲーム内容は、タイトル名に如実に表現されていた。曰く――〈ソードアート・オンライン〉。剣の技がプレイヤーの人格を象徴する世界。
 SAOの世界観と、偏執的なまでに造り込まれた巨城の壮観はたちまちゲーマーの話題をさらった。千人限定のベータテスター募集には応募が殺到し、抽選は百倍を超える狭き門となった。濃紺の巨大なプラスティック・パッケージに包まれたベータキットが宅配便で届いた日は、人生最良の一日かと思えたものだ。
 半年に及んだテスト期間は夢幻のごとき日々だった。俺は学校から帰ると取るものもとりあえずSAOにログインし、我ながら呆れるほどの熱意で剣技の習得に打ち込んだ。
 ゲーム内では、自分の思うとおりに五体を動かすことができる。現実世界で剣道の達人ででもあれば、あるいはSAOの中でも強力な剣士となれるのかもしれない。だがもちろん、俺を含めたほとんどのプレイヤーは救いがたいゲームマニアであり、剣の振り方など知るよしもない。
 しかし、SAO内で会得した剣技に沿った動きであれば、ゲ
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