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Sword Art Online -Gun Sword-
Sword Art Online
prologue
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いっても精神的な疲れはある。殺風景な迷宮内を見渡しもう一度息を付いた。
 俺がこの第64層に来たのは他でもないクエストの為だった。クエスト内容はリザードマン10体討伐で、先ほど倒したので丁度10体目だった。1体と戦闘をしただけで披露を感じるのに、それを10体もとなれば流石攻略組に属する俺でも一休みが必要になる。俺は襲いかかってくる疲労感を感じながら、左手を上げて空中で人差し指を軽く振った。
 甲高い効果音と共に、手の平の下に半透明の主メニューウィンドウが表示される。左半分には人型のシルエットが描かれ、各所の装備状況が表示されている。右には所持アイテム詳細や収得スキル一覧、マップ表示などのメニューが並ぶ。最上部には俺の名前とHPバー、EXPバー。先ほど倒したリザードマンは俺のレベル敵に微妙な敵だった為、経験値も微妙に増加していた。
 俺はクエスト確認画面に切り替え、討伐数を確認した。きちんと10/10と表示されていて、ご丁寧にクエスト完了とまで表示されていた。一応アイテム画面に切り替え、新規入手品リストも確認する。先ほど倒したリザードマンから得たアイテム類と金――この世界では〈コル〉と言う単位で表記される――が列記されている。アイテムは奴が装備していた曲刀に金属鎧だ。売れば、今日稼いだ金と併せて一晩の食事代程度にはなるだろう。

 迷宮区を構成する巨大な塔を出ると、既に周囲は夕刻の色彩を帯び始めていた。目の前に広がる金色の草原と、その彼方に見える木々の梢をおだやかに揺らす風は少し冷たい。
 俺は迷宮区を抜けた安堵感とクエストを達成した達成感、さらに溜まった披露感に襲われその場に倒れるようにして寝転ぶ。ふと空を仰ぐと石と鉄の組み合わさった巨大な蓋が見え、無機質な金属感にどことなく寂しさを覚えながら目を閉じた。
 この〈アインクラッド〉は単純計算で直径、高さ同じく一万キロメートルのほぼ円錐形をした構造物が屹立した途方もない巨大浮遊城だ。
 開発した会社の規模を差っ引いても、これだけのデータ量を内包する代物がたった三年足らずでプログラムされたのは狂気沙汰だ。いや――修辞でなく狂気のなせる技だ。
 この世界、〈浮遊城アインクラッド〉または〈ソードアート・オンライン〉は、ある一人の男が暴走した脳が生み出し、ゲームであってゲームでないものへと変容させてしまった。
 俺は目を開き、自分の四肢をまじまじと眺めた。どれも普段の生活では違和感を抱かない程リアルであり、この世界がサーバーの中に構築されたデータの集合体なのだということを忘れさせない程度には作り物めいていた。
 俺は再び目を閉じ、程よい脱力感に身を任せるようにして眠りに落ちていく。
 この世界がデスゲームと化した日の事を思い出しながら。



 直接神経結合環境システム――NERv Di
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