第一章
記憶を無くした少女
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ても困るから同じやつをだした。
「美味しいです」
「そう、それは良かった。ところで、なんであの願いをしに神社に来たの?」
「えっと…そう言えば、まだ自己紹介をしてませんでしたね。鈴菜 凜(すずな りん)です」
「私は黒鐘 黒夢。暇そうにしてるのが霧崎 那木砂よ」
「黒夢さんに那木砂さん…ですね」
「別にさん付けにしなくても」
「そうですか?」
「少なくとも那木砂(コイツ)にはさん付けにしなくても良いよ」
『お前なぁ…』
那木砂が呆れて溜息ををついた。
実際、さん付けするほど目上の人には見えないし、那木砂“さん”とか言われると違和感しかない。
「話を戻すけど、何でうちの神社にお参りをしに来たの?」
「実は私、自分事が分からなくて凄く困っていて……」
「まさか、記憶喪失なの」
「らしいです…あてもなく歩いていたら“赤いマフラー”を付けた人が困っていたら幸屋神社に行くと良いよって言われたので」
「ここへ参拝しに来たのね…よく来れたわよね」
「地図とかくれたので普通に来れました」
「ふーん…」
赤いマフラーを付けた人ねぇ…知ってる奴が居るとは言え、勝手に決めつけるのは良くない。帰ってきたら聞いてみるか。
とは言え、記憶喪失を治すのは容易ではない。凜が誰であり、何処に住んでる事すら知らないと、探すにも難しい。
「お手上げと言いたいところだけど」
「あんなに大金を入れられたら後が引けないもんな」
「那木砂、アンタも何か案でも出してよ」
「オレに言われても…医学なら聖都にいる奴らなら詳しいんじゃないか?」
「遠い。流石に留守番無しに行けるる訳には…」
「それから色んな場所を見て回るか」
「その手があるか、確かに依頼で解決しに行く時なら出来るわね。凜はこの後、行くあてとかあるの?」
凜に聞くと首を横に振った。
「行くあてがないなら記憶が戻るまで神社に居ると良いわ」
「良いんですか?」
「その代わり、依頼解決の助手になってもらうから」
「助手って何をするんですか」
「私と一緒に付いてくるだけで良いわ、戦いとか出来る?」
「え、えーと…その、武器すら持った事ないから…」
「よくここまで来れたね…」
ある意味、尊敬する。
すると、凜が困った表情を浮かべながら「ごめんなさい」と言った。
「別に良いわよ、気にしてないし」
「戦う知識はありませんが、精一杯頑張ります」
『頑張れよ、扱き使われないように』
那木砂がニコニコしながら言うと、凜が首を傾げていた。別に凜を扱き使わう気はない、はずだ。
その時。
「黒夢は居るか?」
「バルフレア、こんな
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