第一章
記憶を無くした少女
[2/8]
[1]次 [9]前 最後 最初
ならまだしも。
「はぁ…ルフレとブルームは遠出してるし。最近、レイガは稽古してくれないし」
「そういや、レイガ見てないな。忙しいのか?」
「知らないわよ、どうでもいいし」
「ふーん…」
どうでもいいように言ってるが、内心は少しだけ心配している。弟子だからなのか、幼馴染みなのか。どちらにしよ、心配しているのには代わりない。
その時、階段から誰かが登ってきた。
「凄い桜…ここが神社なのかな」
少女が辺りを見渡しながらそう言うと、那木砂が口を挟んできた。
「神社?ここが神社にみえ__」
私は思わず那木砂の腹をパンチした。那木砂が痛そうに両手で腹を抑えると、少女が少しだけ引いていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない…」
だろうね、思いっきり殴ったんだし。悪いとは思ってない。
那木砂が痛そうにしてるのを無視して、笑顔で参拝を進める。
「幸屋神社へお参りしに来たのかしら」
「はい」
少女は財布を取り出し、10マニーを賽銭箱に入れようとした時__
「…チッ、たったの10マニーか」
「おい、黒夢。心の声が聞こえてるぞ」
すると、少女が首を傾げながら「気のせいかな」と呟いた。
「少しでも自分の事が分かりますように」
「これっぽちの額の割には随分でかい願いを…」
「や、やっぱり、少なすぎたのかな…?」
「え、あ、その…つい本音と言うか…もうちょっとあげたら神様もやる気を出すんじゃないかなーって」
『最低だな、お前』
那木砂が笑顔で言われると、流石に自分でも最低だと思った。
「…そうだよね、少しと言っても規模が大きいもんね」
少女は札を一枚取り出し、賽銭箱へと入れた。
いくら何でも入れ過ぎな気がした、嬉しいけど。
「これで神様は願いを聞いてくれるのかな?」
「えーと…」
神様=私がやる
つまり、私がやらないと行けなくなる。ここでやらなかったら後味が悪いし、アイツに何を言われるのか分からない。
「そ、そうね…お参りしてくれたんだし、巫女である私が少し話を聞いてあげようじゃないか」
「え、本当ですか!」
「まぁ、これも仕事だからね。さ、上がって。お茶とお菓子を出すから」
『分かったぜ』
どさくさに紛れて那木砂が返事をしていた。
「アンタじゃない」
「まあまあ、そんな事言うなよ。丁度、退屈だったし」
「はぁ…まぁ、良いわ。その代わり、邪魔しないでね」
「はいはい、巫女様の仰せの通りー」
「はい、お茶と茶団子」
「ありがとうございます」
少女が嬉しそうにしてお茶を飲んでいた、那木砂に出すのは少し気が引けたが、駄々こねられ
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ