暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第237話「剥奪」
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い。
 悪神を圧倒していた弾幕が、今度は帝に向けられている事で、劣勢を極めていた。

「っづ、ちぃっ……!!」

 迫りくる剣の群れをエアと魔力弾で逸らし、同時に魔力を集束する。
 直後に集束した魔力で砲撃魔法を放ち、僅かな隙を作る。

「(直接攻撃するのはダメだ!その瞬間、また“奪われる”!)」

 隙を作り、その隙で次の隙を作る準備をする。
 それを繰り返し、ジリ貧になる前に突破口を開く隙を作り出す。

「ここ、だっ!!」

   ―――“カタストロフ・エア”

 ようやく大きな隙を見つけ、強力な砲撃魔法を放つ。
 ギルガメッシュの力は失ったが、エアがいる限り世界を裂く砲撃魔法は使える。
 魔法の特性から、神界の存在にも通用するため、今の帝の手札では最も使いやすく強力な魔法だろう。

「はっ!無駄だ!」

 ……だが、それを正面から物量で潰してしまえるのが、今の相手だ。

「っ……!」

 無数の武器が、帝を襲う。
 その物量に、先程まですら手加減していたのだと帝は悟る。
 今できるあらゆる手段を打ってなお、凌ぐ事すらできずに蹂躙される。

「ぐっ……!」

 吹き飛ばされ、背後の方で刺さっていた武器群に叩きつけられる。
 すぐに体勢を立て直そうとするが、既に悪神が目の前に迫っていた。

〈マスター!〉

「さて、どれだけ“奪えば”絶望するのやら」

「は……?」

 悪神が帝の頭を掴む。
 その瞬間、帝の中から急速に魔力が消えていった。
 ……魔力すらも奪われたのだ。

「て、めぇ……!」

「まだ反抗するか。なら、次だ」

 頭を掴む手を外そうと、それでも足掻く帝。
 だが、今度はその体が変わっていく。
 容姿は自分では見れないため、詳細は分からない帝だったが、それでも自分の体が変わっていく事は分かった。

「今度は何しやがった……!」

「この姿に見覚えはないか?」

 直後、目の前の悪神の容姿が変わる。……先程までの帝の姿に。
 銀髪オッドアイという特徴的な容姿に、帝も何をされたか理解する。

「っ……俺の容姿を……望んだ姿すら奪うか……!」

「借り物だからな」

 今の帝は、年相応の一般的な好青年の姿になっている。
 前世の容姿とは違うが、これが本来普通に転生した場合の容姿だ。

「お前は本当に借り物だらけだな?」

「それが、どうした……!いい加減離せ!!」

〈っ、マスター!〉

 殴りつける。だが、悪神はびくともしない。
 英雄の力も、膨大な魔力も、スペックの高い体も失った。
 それでも足掻こうと、帝は目の前の悪神を睨む。

〈このままでは、私も……!〉

「ッ……!エア……!」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ