第8章:拓かれる可能性
第237話「剥奪」
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「帝……!」
一方で、優奈も苦戦を強いられていた。
“残酷の性質”が思った以上に厄介だったのだ。
「人の心配をしている場合か?」
「くっ……!」
空間どころか、事象そのものに干渉してくる。
“残酷な現実”というものが、そのまま優奈に押しかかる。
「っづ、ぐぅっ……!」
体が重く、力も出せない。最早何も出来ない。
そんな“残酷な現実”を無理矢理優奈に課せられる。
理力で抵抗して、ようやく優奈は動ける。
だが、悪神が何もしない訳ではない。
強い訳ではないが、白兵戦を仕掛けられ、優奈は大きく後退する。
「ほら」
「ッ、こ、のぉ……!!」
さらに、洗脳された神々も襲い掛かる。
本来ならば、それも凌ぐ事は可能だが、ここまで連戦続きだ。
どうしても、出力を出せずにいた。
「(凌ぐので精一杯……!突破口が……見つからない……!)」
凌ぐ事は出来る。だが、それ以上は踏み込めない。
突破口を見つけるか、悪神の“性質”に慣れるまで耐え凌ぐという手も、帝が追い詰められている事から、使う事ができない。
「っ……!」
焦る。このままでは自分ではなく、帝が倒れる事に。
一筋縄ではいかない事ぐらい、理解はしていた。
それでも、手の打ちようがなくなっていく事に、焦らざるを得ない。
そして、それがさらに不利な状況へ持っていく。
「こっ……の!!」
体を動かす分の理力を集束し、カウンターで“天使”を一人仕留める。
「ッッ……!」
物理的な攻撃は食らっても無視する。
ここは神界。物理的ダメージは気にしなければダメージにならない。
否、最早優奈に余裕はなく、物理的ダメージを意識する事も出来ない。
「っづ、ああっ!!」
“天使”を掴み、別の“天使”にぶつける。
その上から、さらに理力をぶつけ、吹き飛ばす。
「ぐ、ぁあっ!?」
そして、お返しと言わんばかりに、理力をぶつけられる。
多勢に無勢。このままでは優奈が倒れるのも時間の問題だ。
帝が倒れるまでに突破口を見つけ、倒すどころではない。
「(帝……!)」
外的要因による状況の変化がない限り、優奈に勝ち目はない。
自分が勝つだけなら、まだ可能性は残っている。
しかし、それでは帝は助からず、おまけに勝ったとしても“その次”は無理だ。
……敗北は、着々と目の前に迫っていた。
「(優奈……!)」
そして、その帝も窮地に陥っていた。
特典二つを奪われてなお戦えるが、やはり力の差が大きい。
足掻いてはいるが、攻撃が決して届かな
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