第8章:拓かれる可能性
第237話「剥奪」
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
?」
だが、その考えは一瞬で消え去った。
背後からの衝撃と目の前で起きた出来事に、帝は呆気に取られるしかなかった。
「所詮は借り物の力と言う事か」
「帝!」
「おっと、邪魔はさせんぞ?」
「ッ……!」
優奈がフォローしようとするが、“残酷な性質”の悪神に阻まれる。
さらに他の悪神と洗脳された神々も優奈を包囲する。
優奈や帝が行った分断を、今度は相手からしてきた。
「こうも容易く“奪える”とはな」
「お、前……何をした……!?」
帝の前に降り立った神が帝を嘲るように笑う。
その様子に、帝は怒りに震えながらもその先に踏み込めずにいた。
「文字通り、“奪った”のさ。お前の力を」
「っ、くそが!!」
そう。帝は先程の一瞬でエミヤの力を全て奪われていた。
そして、今度は帝がその投影による攻撃を受ける。
咄嗟に王の財宝で相殺するが……
「それも所詮は借り物だ」
「な、ぁ……!?」
肉薄され、手刀が帝の体を貫く。
そして、ギルガメッシュの力すら、奪われてしまった。
「っづ、このっ……!!」
砲撃魔法を至近距離から放ち、何とか間合いを取る。
だが、この一瞬で一気に不利になってしまった。
「エア!」
〈っ……奪われました……!何の抵抗も出来ずに……!〉
「くそ……!」
目の前に広がるのは、先程まで帝が放っていた弾幕。
違うのは、それを繰り出しているのが目の前の悪神だと言う事だ。
「(奪う……そういった“性質”か……借り物の力でしかない特典だから、あんなあっさりと奪われたのか……!)」
障壁で防ぎ、破られる前に砲撃魔法の魔法陣をいくつか用意する。
破られると同時に砲撃魔法を放ち、転移魔法でその場から離脱する。
「(俺だって、ただぶっ放しているだけだと思うなよ……!)」
エミヤやギルガメッシュの力が無くなったとはいえ、無力になった訳ではない。
膨大な魔力とエアは健在だ。
そして、その魔力を十全に扱う技術も既に培っている。
手軽且つ強力な攻撃を連発出来なくなっただけで、まだやりようはある。
「(……けど……)」
しかし、懸念は残る。
「(……この魔力も、それこそエアも……)」
そう。その膨大な魔力とデバイスのエア。
それらも帝の特典だ。授けられた力でしかない。
つまり、奪われる可能性が高いと言う事だ。
「っ……だからって、諦められるかよ……!!」
魔力弾を大量に展開し、帝は歯を食いしばって悪神を睨む。
帝にとって、もう“勝ち目の有無”は関係ない。
“譲れないモノ”のために、立ち上がり続ける。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ