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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第24話:歌をあなたに、演奏を君に
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ラブルを…………彼の夢と約束を破ってしまった己の罪を懺悔するように告白した。
透とクリスの間に何があったかを聞かされたフィーネ。
全てを話し終え、再び罪悪感に苛まれたのか表情に影を差し肩を落とすクリスをフィーネは暫し見つめた。
正直、彼女としてはここでクリスと透に駄目になられては困る。何とかして立ち直ってもらわなければ。
「ねぇ、クリス?」
「ん……何だ?」
何時になく柔らかな声で話し掛けるフィーネ。普段のクリスであれば少しは警戒するのだろうが、今のクリスは精神的に余裕が無かった為欠片の違和感すら抱くことは無かった。
「聞きたいんだけど、あなたはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「透に対して、罪滅ぼしをしたいのか否かよ」
「そんなの、したいに決まってる!? でも、どうすりゃいいんだよ……」
出来ることなら、彼に罪滅ぼしをしたいと言う気持ちに嘘偽りはない。しかし、歌を捨てた自分に今更何をしろと言うのか。
そうクリスが思っていると、フィーネはとんでもない事を口にした。
「それなら簡単よ。クリス、歌いなさい」
「――――――は?」
最初、クリスはフィーネの言葉が理解出来なかった。だが彼女の言葉が頭に染み込み、理解できると心に激情が沸き上がった。
「何言ってんだッ!? あたしがもう歌いたくないって、歌う資格はもうないって分かってるだろッ!?」
「だからよ、クリス」
「何がッ!?」
激情に駆られ怒鳴り散らすクリスをフィーネは冷ややかに見つめながら諭す。
「あなたにとって歌う事は苦痛なのでしょう? なら丁度良いじゃない」
「え?」
「夢と約束を破てしまった彼の為に、あなたが歌って彼を癒すのよ。どう? 罪滅ぼしとしては最適でしょう?」
傍から聞けばそれは滅茶苦茶な話だった。夢と約束を破った相手の為に、その原因と言える捨てた歌を歌うだなんて。
だが今のクリスは透とのすれ違いと罪悪感で、冷静な判断力を著しく欠いていた。
故に、フィーネの言葉が筋の通ったものであると思えてしまった。
「ね? それにこれはあなたが彼と本当に分かり合う為に必要な事でもあるのよ」
「必要な、事?」
「そうよ。歌うのは辛く苦しいのでしょう? でもその苦しみはきっと、あなたと彼を繋いでくれるわ。何しろ、痛みこそが人と人を繋ぐものなのだから」
話を聞けば聞くほど、フィーネの言葉が正しいように思えた。
「さ、行きなさいクリス。彼の為に、罪滅ぼしの為に歌うのよ」
「透の、為…………あぁ、分かったよ」
フィーネに背を押され、透の元へ向かうクリス。
やや覚束ない足取りで部屋を出ていくクリスの後姿を、フィーネは薄く笑みを浮かべながら見つめていた。
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