暁 ~小説投稿サイト~
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~
無印編
第24話:歌をあなたに、演奏を君に
[3/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
の仲は限りなく疎遠になっていた。
会話――勿論透は筆談――は最低限、顔を合わせるのも数える程度。しかも戦闘訓練では、透の戦績が明らかに悪くなっていた。
これは透とクリスが互いに相手との距離感を見失ってしまったが故である。特に透はクリスの存在が力の源になっていた節があるので、彼女との精神的な距離が離れてしまった事でコンディションが最悪になってしまっていたのだ。
苦しんでいるのは彼だけではない。クリスも同様に苦しんでいた。
それは彼との約束を勝手に破ってしまった罪悪感だけによる物ではない。
ある日、1人屋敷の外を湖に向かって歩いていく透を見つけた時の事である。
「あの先は、湖? 何で…………ッ!? 透の奴、まさかッ!?」
クリスとの約束を、夢を叶えられなくなったことに絶望し、入水自殺しようとしているのではないか? そんな予感に慌ててクリスが飛び出して後を追い、湖の畔で見つけた時彼は湖に向かって必死に発声練習をしていたのだ。
勿論声は出ない。でない声を必死に出そうとしていたのである。
何故あんな事を? 等と考える程クリスは鈍くはない。
透はまだ、夢を諦めきれていないのだ。歌を愛し、歌で人を笑顔にしようと夢見た透。
しかし彼自身は最早歌を歌えず、共に歌で人々を笑顔にしようと誓ったクリスは歌を捨てた。
最早彼が夢を叶える為には、起きもしないだろう奇跡に縋って声が出せるようになる事を願う以外に方法は無かったのだ。
「透――――!?」
必死に、それこそ血を吐かんばかりに出せない声を出そうと発声練習する透の姿に、クリスは堪らず涙を流した。
未だ夢を諦めきれず、その身を叶わぬ夢と言う炎に焼かれて苦しむ様子を見て彼女も罪悪感に苛まれたのだ。
1人の少年の夢を自らの手で砕いてしまった、その罪からくる罪悪感に。
それからと言うもの、クリスは透が発声練習するのを見守り続けた。それこそが自分への罰だと思ったからだ。
「クリス、最近透の様子がおかしいのだけれど、あなた何か知らない?」
そんな時である。フィーネが珍しくクリスに透の事で訊ねてきた。
当然クリスは言葉を詰まらせた。透の様子が変化したのは、誰がどう見てもクリスが原因だからだ。
フィーネからの問い掛けに最初返答を迷いだんまりを決め込んでいたクリスだったが、ふと魔が差してフィーネに悩みをぶちまけた。
それは或いは逃避だったのかもしれない。もう見ていられなかったのだ。叶わぬ願いを追い求めて苦しむ透の姿を見る事が、彼女にとっても辛くて苦しくて仕方なかったのである。
「聞いてくれるか、フィーネ?」
「そうね……まぁ言ってみなさい」
フィーネに促され、ぽつりぽつりと最近透との間に起こったト
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 ~小説投稿サイト~
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ