揺籃編
第十六話 士官学校入校
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官推薦というのは推薦する方も大変だから、誰もやりたがらない」
「何故です?」
「考えてもみろ、推薦する理由があるだろう。結果、どうなる」
「…将官が推薦するくらいだから、人物、才能共にとても優秀な人間じゃなきゃ無理でしょう?それくらい私にだって分かりますよ」
「…お前さん、本当に宮仕えの人間か?まあいい、推薦する側の人を見る目が問われるのさ」
「当たり前じゃないですか」
「…ヤン中尉、お前さんは本当に世渡りというか、こういう事に疎いな。推薦された方は過度の重圧がかかる。期待に応えなくてはならないし、教官や学生からもそういう目で見られるからな」
「…推薦ですから当たり前なのでは?」
「それを全うすればな。途中で挫折してみろ、軍はあたら優秀な人間を失う事になる。推薦した側も、人を見る目が無かったと面目丸潰れだ。当然昇進や配置先に響く。推薦した者、された者お互いにプレッシャーがかかるんだ。この制度が出来た当初は上手く機能していたらしい。が、徐々に機能しなくなった」
「……政治家、官僚や大企業、それと繋がるお偉方達が乱用したのですね」
「そうなんだ。縁者や後継者に箔を付けるためにな。だが箔付けだけの為に入校した者は挫折する事が多かったそうだ。結果面子を潰す事になって使われなくなった。頼み込む方もそれを知っているから、依頼する者は皆無になって、制度だけが残ったのさ」
「…本当にすごい制度ですね」
「だから大騒ぎになったんだ。推薦者のドッジ准将…死後特進して中将だ、彼は昔の上官でね。とても優秀な人だった。驚いたよ」
「そうだったんですか」
「お互い会う機会はすごく減ったが、知っていたら止めただろうな」
「でも、何故推薦したんでしょうね」
「そりゃあ、優秀だからだろう。落ち着いたらアッテンボローと一緒にウチに連れてこい。お前さんの友人だ、入校祝いとお前さんの昇進祝いをしないとな。…二階級特進、おめでとう」
7月17日 バーラト星系、ハイネセン、テルヌーゼン市、自由惑星同盟軍士官学校、
第57講堂 マイケル・ダグラス
ヤマトもオットーも無事に帰って来てくれてよかった。推薦されたのはいいけど一人で士官学校なんて
事になってたら大変だったぜ。
しかし…何なんだこの人だかりは。中途編入がそんなに珍しいのかね…そうか、現役のまま入校だからか。でも、教官以外の軍人を見るのがそんなに珍しいもんかねえ。
「ヤマト、将官推薦ってそんなにすごいのか?ローゼンリッターじゃ誰も知らなくてさ」
「五十年ぶりらしいぞ。でも誰も知らないなんてそんなことあるのか?」
「士官学校に入校とは聞いてたけど、誰も理由を教えてくれないんだよ。ただ、将官推薦枠としか。ひでえだろ」
「そうだったのか。辞退するなら今のうちだぞ」
「三人揃ったの
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