暁 〜小説投稿サイト〜
リュカ伝の外伝
才能と素質 完結編
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
では無い……盗作された生徒の方も、世の中は音楽家としての力量よりも容姿の端麗さが重要と思い込み、努力を怠り始めるだろう。もしその中にまだ開花してないがグランバニアの音楽会を覆すほどの才能を持った生徒が居たら如何する? その才能を埋没させるどころか、汚水に投げ捨てるかの如き事態だ。贔屓された本人も、贔屓されなかった者達も、税金を払っている国民をも不幸にする事態!」

「も、申し訳ございません!」
けっして捲し立てる訳でもないリュカさんの口調で教師としての重責を聞かされるサム・ラゴウスは、疎らに生える白髪の頭を深く下げて謝罪する。
因みに学長のディレットーレも頭を下げている。

「い、以後は心改め、教師として生徒を導きたいと思います」
顔を上げたサム・ラゴウスは、真剣な顔で改心を伝えた……だが、リュカさんの横顔を見る限り、そういう事ではなさそうだ。まぁそうだよなぁ……

「僕は今後の話をしてましたか?」
「は?」
リュカさんの嫌いな台詞『もう二度としません』だ。

「僕は今日以後の事で責めてたんじゃない。もう起きてしまった過去の事を言ってるんだ。今後のお前なんぞ知らん!」
「い、いや……『知らん』と言われましても……」

先刻(さっき)も言ったがお前の給料は税金だ。同じく税金から給料を貰っている国民(おまえら)を守る為に存在する軍人が、国民(おまえら)を守るどころか攻撃し始めたら如何する? 全ての悪事が発覚して『ごめんなさい、もう二度としません』って言ったからって無罪放免で許すのか? 『家族を守ってくれ』って言って金を渡したのに、その金で武器を買って家族を殺されたのに、『二度としません』で終わるのか?」
例えが極端だ。

「今の例とは違い、お前は人を殺してないが税金を不正に得て国家にダメージを与えたんだぞ。以後もその職に居られると思うなよ!」
「そ、そんな……」
クビで済むなら御の字じゃん。

「本来だったら今まで不正に取得した税金の返却を要求する所だが、何時(いつ)まで遡って返却要求するのか判らんし、お前にも生活があるだろうから金を巻き上げるのは心苦しい。だから金返せとは言わんが、これ以上お前に税金を与える訳にはいかない。今後も教師を続けたいのなら個人雇用主を探せ。我が国はもうお前を雇わん」

肉体関係を迫ったのが彼女からだったからリュカさんも甘い罰で済ませてる。
国家としては本当は男女で差別をしないでほしいが、リュカさんには言っても無駄だろうなぁ。その点、誰にでも優しいティミーさんなら甘いが分け隔て無い罰則を与えるだろう。国王としてはそっちの方が理想だ。

「と言う訳で、今日までの分の給料を支払ってコイツを出て行かせろ。ウルフは学長と一緒に今回の件を個人名を伏せて世の中に伝達。既存の教師等にも
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ