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ペルソナ3[百合] 求めあう魂
後編
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しかしあくまでこれは模擬戦。本番はこれからだからな。少しでもできることがあればやっておこう。」
気を取り直して立ち上がると、美鶴はみんなにそう呼び掛けた。
【皆さん、そろそろ影時間が終わります。急いで撤退してください。】
風花の通信が入る。
「ともかく今日はみんな、本当にご苦労だった。充分な成果だ。寮に帰ってゆっくり体を休めてくれ。」
美鶴はそう告げた後で、座り込んだままの ゆかり に改めて手を差し伸べた。
 
ロビーで解散後、みんなで階段を上がり、「おやすみなさい」と声を掛け合って部屋に戻った。体のダメージそのものは『彼女』の究極の回復スキルのおかげですっかりなくなっていたが、疲労は限界まで来ていた。布団に倒れこんだら、そのまま動けなくなりそうだ。
しかし、死神戦の興奮が冷めやらず、体は疲れ切っているのに神経が張り詰めていて、とても寝つけそうにはなかった。
目をつぶれば、死神の恐ろしい姿と激しい攻撃が蘇って、思わず体に力が入る。命がけの戦いからの切り替えがうまくできない。
ゆかり は頭を振ってそのイメージを振り払った。
「ああ、お風呂入りたいけど、今日は順番最後だったし、どうしようかな。」
一人でぼそっとつぶやいていると、携帯電話が鳴った。
もう2時を過ぎている。
首をかしげて電話に出ると『私だ。美鶴だ。』と声がした。
「ああ先輩、どうしました?」
『うん・・・ちょっと話をしたくてな・・・その・・もし良かったら、少しでいい。会いたいんだが・・・。』
疲れていた・・・。
美鶴も疲れ切った声をしていた。お互いにもう限界だろう。
それでも電話してきたということは、何か ゆかり に伝えたい重要なことがあるのかもしれない。心なしかその声は震えているようにも感じられた。
美鶴の心中に何があるのかが気になった。それに、ゆかり も美鶴と話がしたかった。お互いの無事を喜び合うことで、この緊張感をほぐしたかった。
「はい、大丈夫です。ただ、できればその前にお風呂に入りたいんですけど。」
『なら、私の部屋のシャワーを使っていい。』
「助かります。・・・じゃあ、先輩、先に浴びちゃっててください。私、支度したら行きますから。」
『わかった。部屋の鍵は開けておく。』
電話が切れた。
美鶴の部屋を訪れると決まったら、急に気持ちに張りが出てきた。いそいそと着替えを用意する。
修学旅行から戻って以降、美鶴の部屋に行く機会が増えていた。美鶴に誘われてということが多いが、ゆかり も以前あったような苦手意識が無くなり、いつしか気軽に部屋を訪ねるようになっていた。シャワーも何度も借りたことがある。気が向くと、部屋で一緒にDVDを観たり、音楽を聴きながら話をしたりして過ごした。
そういうとき、いつも美鶴は紅茶を入れてふるまってくれた。
全くス
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