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ペルソナ3[百合] 求めあう魂
前編
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先ほどまでの毅然とした態度はどこへやら、美鶴はひどく不安げでうつむき加減だった。
「何がです?」
不審に思って聞き返す。
「全員の一致で決めよう、と言ってくれただろう。命がけの戦いになる。確かに私の一存で決めるべきことではなかった。」
美鶴は勝手な思い込みで責任を感じている。しかしそれは ゆかり の意図したことではなかった。
ゆかり は慌てて自分の考えをきちんと説明した。
「えーと、誤解しないんで欲しいんですけど、先輩が一人で決めたことを責めてるんじゃないですからね。
先輩は、ニュクスにどう立ち向かうか、その方法を一生懸命考えてくれてたんですよね。私なんか、ただ頑張ろうって言ってただけ。あとはイライラしてて、具体的には何も考えてなかったのに・・・。
だから私は真っ先に賛成したんです。それはみんなもよくわかってることだし、だから満場一致で賛成されたんじゃないですか。」
「結果的にはそうだったが、しかし・・・やはり配慮が足りなかった。」
「そうじゃないです。私が提案した時点で、ああいう結果になるのは最初からわかってましたよ。」
「そうなのか?・・・それでは、なぜ ゆかり はあんな提案を? みんなの士気を高めるためか?」
「そっちはリーダーがちゃんとやってました。」
ゆかり は正面から美鶴の眼を見つめる。美鶴を批判することが目的ではなかった。それをわかって欲しくて、熱をこめて語りかけた。
「私はただ先輩に全てを背負わせたくなかっただけなんです。誰かケガするかもしれない。へたすると死ぬかもしれない。そんな厳しい戦いを、先輩一人の判断で決定してしまったら、何かあったときに先輩はその責任を感じてしまう。
だからみんなが自分の意志で決めて戦ったんだって、そう言えるようにしておきたかったんです。
ニュクス戦だってそうでしょ。誰かに言われたから戦うっていう人は、ウチらの中には一人もいません。だから、そんなに一人で背負い込まないでください。」
「君は・・・そんな・・・私のことを心配してくれていたのか・・・。」
美鶴が思わず声を震わせる。普段、人前では絶対に見せない気弱な表情だった。
(みんなには気丈に見せているけど、責任感が強い分、先輩も余裕がない状態なんだ。私なんかよりずっと・・・。だから先輩に頼ってばかりいないでサポートしてあげないと・・・。)
ゆかり は力づけるように笑顔で返した。
「もっとみんなを信頼してください。私のこともね。私達、最高のチームなんですから。」
「そうだな。全く君の言うとおりだ。ありがとう。気遣いに感謝する。」
美鶴は ゆかり に熱い視線を向けてそう答えた。

翌日の影時間、最上階手前のフロアに、風花を除く全員が待機していた。
普段は何かあったときの備えてバックアップメンバーをエントランスに待機
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