前編
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って。」
「じゃあ美鶴さんだ。最初からなんだかすごく意識してたし・・・修学旅行の後から急に親密な感じになったのも怪しいし。」
「先輩は・・・。」
再度否定しようとして急に言葉が詰まった。美鶴の気品のある美しい顔が脳裏に浮かぶ。特に理由は無いのだが、美鶴を否定することになぜか後ろめたさを感じてしまった。
(いやいや、ここで言葉に詰まるのは、かえって変な感じになるでしょ。)
ゆかり は焦って、しどろもどろに言い訳した。
「ちっ違うよ。先輩は・・・その・・・いつも張りつめてる感じがして・・・。すごく強い人のになんだか危なっかしいとこがあって、つい心配になっちゃうっていうか・・・ともかく、ほっとけない感じがするだけ。」
「・・・おや?。」
『彼女』が目を見開く。
「いやあ、驚いたー。瓢箪から駒。そっかー、先輩が気になってたのかあ。それじゃあ、なまじの男では太刀打ちできないわ。」
そう言いながら『彼女』は腕組みをすると、合点がいったとでもいうように うんうんとうなずいた。
「だ、だから、そんなんじゃないって! ・・・もう、いい加減にしないと!」
ゆかり は赤面して思わず声を大きくした。
「あ・・・ごめん、ごめん、やりすぎだったか・・・。冗談だから、そんなにむきになって怒らないで・・・。」
『彼女』が慌てて、両手のひらでガードするようにして謝った。
「なんなのよ。全く・・・。」
「悪かったって〜。ホントに可愛いなあ、ゆかり は〜。」
ゆかり はへそを曲げてぷいっとそっぽを向く。
『彼女』はその姿をしばらく黙って見つめた後・・・ニカッと笑って「勝って絶対に生き延びようね。」と言った。
「あたりまえでしょ。」
「愛しい先輩のためにもね。」
『彼女』が ニシシッと笑った。
「まだ言うか。ば〜か!」
ニュクスとの決戦まであと数日に迫っていた。
その日、「話がある」と美鶴が全員を1Fのロビーに集めた。
時期が時期だけに、皆が緊張感を漂わせており、集まっても会話がまばらだ。
ゆかり もそうだが、みんなも近づいて来る運命の日のことを考えながら、不安と戦っているのだろう。
そんなメンバーを前にして、美鶴はすくっと立ち上がると厳しい表情で言った。
「集まってくれてありがとう。」
その顔を見て、(先輩、すごく疲れた顔をしてる・・・)と ゆかり は思った。美鶴の感じているプレッシャーは、おそらく ゆかり 以上のものなのだろう。それに耐えながらメンバー全員のことを考え、みんなをリードしようと頑張っているのに違いないのだ。
美鶴は全員を見回すと、それから重々しく宣言した。
「ここ数日、考えていたのだが・・・決戦の前に、死神シャドウに挑戦してみようと思う。」
美鶴の言葉に、全員が息をのむ。
「マジか!」と順平が声を漏らした。
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