前編
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メじゃん。・・・順平以外は・・・。」
「別に私は誰かを特別にってことはないんだけどなー。」
「なん股女子高生よ。恐れいるわ。」
ゆかり は、あまりに平然とした態度にあきれ返った。本当に誰とも何もないのか? それとも、そもそも恋愛に全く興味が無いのか?
そんな ゆかり の疑問をよそに、『彼女』は突然 ニカッと笑うと
「私だったら、なんてったって ゆかり が一番なんだけどな〜。」と言った。
「何言ってんの?」
あっけにとられて聞き返す。
「明るくて可愛いし、まじめで優しいし。勇ましくて頼りがいあるし・・・。それでいてちゃんとお料理もできたりして、何気に女子力も高いし。惚れるなって言う方がおかしいと思う。どんな女の子もメロメロになっちゃうと思うな。」
「女の子、メロメロにしてどうすんのよ。」
何を言い出すかと思えば・・・と、ゆかり はため息をつく。それを気にも留めずに、『彼女』が身を乗り出して言った。
「ゆかり、今まで好きな男子いなかったんでしょ。ひょっとすると同性愛《そっち》の方の素質があるのかもよ。」
「ないない。好きになった女子だっていないし・・・。私はちゃんと男の人が・・・。」
手のひらをパタパタさせてそこまで言ったが、あまり妥当な男性の顔が浮かんでこなかった。
この年まで本気で好きになった人がいないって、やっぱり少し変なのだろうか。お父さんが死んだ後、お母さんが男をとっかえひっかえしてるのをずっと見てたから、そっちの方に拒否反応が強いのかもしれない。
(私ってファザコンなのかもね〜。・・・いやいや、そんなのは関係ない。私は単に理想が高いだけ。)と ゆかり は思いなおした。
「いやあ、分かんないよ〜。ねえ、試しに私と付き合ってみない?」
「あのねー。」
なんだか気が抜けてきた。もはやイライラはどこかに消え失せていた。さっきまで熱くなっていたことが急にばかばかしくさえなってきた。
しかし、これが『彼女』の持ち味なのだ。物事にまったく動じない。そして、こちらが周りの見えない状況になったときに、いつの間にか気持ちをリセットしてくれる。
真田さんやみんなが片意地張らずに『彼女』と話せるのも、きっとそのせいなのだろう。
「今の時代、男とか、女とか関係なくない? まずは、人間として誰が好きかで考えてみようよ。」
(これって、どこまで本気なんだか・・・いや、絶対にからかわれている。)
そう思って、ゆかり はことさら冷たく突っぱねた。
「あんたは人間として、いい友達だと思うけどさ。恋人とかそんな関係なんて絶対に考えられないから。」
「えーん。フラれた〜。きっと ゆかり は風花みたいにおしとやかな乙女の方がタイプなんだ。」
『彼女』が大げさに泣きまねをしてみせる。
「いやいや・・・風花もいい友達だけど、やっぱりあり得ない
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