第8章:拓かれる可能性
第236話「振るえ、英雄の力」
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れは、簡潔に言えば宝物庫そのものが宝具なのだ。
つまり、その中身は本人の“財”に依存する。
ギルガメッシュでなければあるはずのない中身を、帝も使えたのはそれが理由だ。
「前置きはこれでいいだろう。では本題だ」
「っ……」
エミヤが言おうとしている事を、帝は察する。
色々とあるだろうが、要は“戦うか戦わないか”だ。
“勝てない”と思ってしまう帝は、思わず息を呑む。
「……あれ程強大な力を持つ敵だ。君が恐れるのも無理はない。ましてや、我々が知るどの神話体系にも属さない領域外の神だ。その力は計り知れない」
「………」
「だが、それは今までの感覚のまま戦った場合だ。相手の法則に則れば、こちらにも勝ち目はある」
「……だからって、俺が勝てる訳じゃないだろ……」
力なく、帝はエミヤの言葉にそう呟く。
「ふむ。では尋ねよう。……君は、何のために力を求めた?何のために力を振るう?」
「なんの、ため……?」
「私であれば、正義の味方であろうと力を求めたし、振るった。誰かのためでも、自分のためでもいい。力を求めるのも、それを振るうのにも、理由はつきものだ」
言われて、帝は考える。
自分が、なぜ彼らの力を求めたのか。
何のために戦い、力を振るっているのか。
最初に思い浮かんだのは、“踏み台”だった頃の思いだ。
「……主人公に、憧れていたから……」
「ああ、そうだ。君は物語の主人公……正しくは、主役や力ある存在としてありたいと憧れ、力を求めた。少年心に格好良さを求め、私達の力を望んだ」
「でも、それは……」
「……人の気持ちを考えない傍若無人な振る舞いへと繋がった……か?そうだな。確かにそうなった。……しかし、憧れは変わっていないのではないか?」
「………!」
“確かに”、と帝は思った。
帝は現実を知り、自分が主人公だとか、そんな器ではないと自覚した。
だが、憧れはそのままだ。
「……何より、それは戦う理由に、力を振るう理由になっていない」
「……え……?」
そして、続けられたエミヤの言葉に、帝は再度困惑する。
「かつてはそうだったのかもしれないだろう。……だが、今はどうだ?」
「今、は……」
考えて、答えが思い浮かばなかった。
何のために戦い、力を振るうのか。
……それが、ちっともわからなかった。
「……俺は、何のために……」
「……やれやれ。まだ自覚しないか。思い起こせ、根底にその理由があるはずだ」
「………」
それでも答えを出せない帝に、エミヤは一つ溜息を吐く。
「君が変わったきっかけはなんだ?理想に溺れていた所から、現実へと引き上げれくれた、その
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