第8章:拓かれる可能性
第236話「振るえ、英雄の力」
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い。
優輝や優奈のような意志の強さも、緋雪や司のような特殊な力もない。
借り物の力だけで、特別なものなど持っていなかった。
そんな弱さが悔しくて、だからこそギルガメッシュの言葉に言い返してしまった。
「ああそうさ!俺は弱い!弱いんだよ!!借り物の力しかなくて、物語の主人公に憧れていただけの男でしかない!……あんな奴らに勝てる精神性なんて、持ち合わせてないんだよ!お前のような、英雄とは違うんだ!!」
「……そうか」
「ッ……!」
そして、失言に気付く。
ギルガメッシュの帝を見る目が鋭く、そして冷たくなる。
「ならばせめてもの情けだ。この我手ずからここで引導を渡してやろう。雑種」
「あ……」
剣が飛んでくる。
今度は、頬を掠めるのではなく、真正面から眉間を狙っていた。
帝は反応する事が出来ず、そのまま剣が命中―――
「……それでもなお、守ると言うか。贋作者」
「ああ。守るとも」
―――する前に、割り込んだ赤い影によって弾かれた。
「……エミヤ……?」
「彼は英雄のような気質でも、かつての私のような異常者ではない。だが、まだ彼自身自覚していない“絶対に譲れないモノ”はある。それを自覚してからでも遅くないかね?」
帝の方を振り返る事なく、割り込んだ男……エミヤはギルガメッシュに言う。
「ハッ、その程度、我も気づいている。だが、今ここでそれを自覚しないのであれば、現状は変えられん。我は我なりの発破をかけただけだ」
「……まったく。英雄王、貴様はやはり過激だな」
「ならば貴様がやれ、贋作者。それでもそこの道化が渋るのであれば、今度こそ引導を渡す」
「いいだろう。……さて」
短い問答の後、エミヤは改めて帝に向き直った。
「一応、名乗っておこうか。私はエミヤ。君の知る通り、あの衛宮士郎の成れの果てであり、抑止の守護者でもある」
「………」
「あの英雄王含め、“なぜここにいるのか?”と言いたげだな。君には私の力と英雄王の力、その双方が宿っている」
思考を読んだようにエミヤは言う。
帝は、黙ってそれを聞いていた。
「だが、いくら力があっても、中身がなければ意味がない。特に、私の投影は剣の構造を知る必要がある。君が私の力を授かってから見た剣ならまだしも、それ以外の剣は投影できないはずだ」
「……それは……」
「だからこそ、君という存在のどこかに、私と英雄王は存在していた。故に、投影も滞りなく可能となり、王の財宝もきちんと使えたのだ」
納得のいく話だった。
エミヤが言った通り投影はそうなのだが、王の財宝も同じだ。
あ
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