三十九 陽のあたらぬ場所
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言い聞かすような物言い。顔を上げないナルを、ネジは冷やかに見下ろした。
「人はそれぞれ違う。避けられない流れの中で生きるしかない。……ただ一つ、誰もが等しく持っている運命とは――――」
観戦者達が固唾を呑んで試合を見守る中、その者はすっと目を細めた。彼はネジが次に何を言うのか、既に知っているようであった。静かに双眸を閉じる。
冷淡な眼差しで見下すネジと、微動だにせず俯くナル。彼らの頭上には憎たらしいほどの真っ青な空が広がっている。
光り輝く太陽の下、ネジの静かな声が会場に響き渡った。
「『死』だけだ」
「それがなんだってば?」
ゆっくりと頭を上げる。ナルの顔を覗き込んだネジが僅かに動揺した。
落胆の色を湛えているものだと決めつけていた彼女の瞳は、少しも輝きを失っていない。むしろ先ほど以上に強い眼光で、ナルは言い放った。
「そうやって、なんでもすぐ決めつけるのは、良くないってばよ!」
手からすり抜ける。眼前で巻き上がった白煙に、ネジは目を見開いた。
煙幕から躍り出る。二人のナルがネジの瞳に飛び込んだ。
(手裏剣を投げた方が本体だと…っ!?)
分身の一体をわざと守り、本体と見せ掛けた。その張本人が太陽を背に、ネジの眼前に躍り出る。交差した両手には、それぞれクナイと手裏剣。
左右から投擲。同時に投げられた刃物は、ネジを挟み打ちにした。
双方からの攻撃は如何にネジとて避けられない。陽射しを浴び、鈍く光る数多の銀。
その眩しさに、彼は白い眼を細めた。身体を捻る。
「……【八卦掌――回天】!!」
弾かれる。
その名の通り、その場で自ら回転したネジ。彼の全身から迸ったチャクラが巨大な円球と化す。ネジが解き放つチャクラの渦。それは突風を伴い、ナルに襲い掛かる。
ネジを中心に円の軌跡を描いたチャクラがクナイと手裏剣諸とも、ナルの影分身を掻き消した。
「…ぐッ」
ナル本人も吹き飛ばされ、地に強く叩きつけられる。
白煙となって消えた分身体。ようやく一人になったか、とネジは冷笑を浮かべた。今しがた発動した術の威力は、彼の足下が物語っている。
穿たれ、円形に窪んでいる地面。ネジが佇む僅かな地点のみが無事である事をナルはちらりと目の端に捉えた。
(今のが、もう一つの奥の手か…)
冷淡な眼差しでこちらを見つめてくるネジ。強い悲しみに彩られた白眼を、ナルは真っ向から見据えた。
予選試合で見せた【八卦・六十四掌】と同様、日向宗家のみに伝わる術【八卦掌・回天】。
チャクラ穴から放出したチャクラにより攻撃をいなし、尚且つ体を回転させる事により相手を弾く柔拳法体術奥義。言わば我愛羅と同じ、もう一つの『
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