第六十七話 天空への塔
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ピエールが呟く。
「僕の魔物使いとしての力も通じなかった。それほどまでに彼らの心は壊されていた」
私達は消えゆく魔物の死骸に目をやった。
本来の在り方から歪ませられて、殺意のままに死んでいく。魔物が害だけではなく、人間と手を取り合える存在だと知っているからこそ、そんな彼らを哀れに思った。
「……先に進もう」
いつまでもここで魔物を哀れんでいても何も始まらない。
こんな胸糞悪いものを見せつける光の教団をさっさと潰すために出来ることをする、ただそれだけだ。
更に探索を続け、荒れ果てた塔を登るが手がかりらしきものは中々見つからなかった。だが最上階(というかより上部への階段が崩壊してる)でやっと手がかりらしきものを見つけた。
「ああ、勇者よ……。よくぞいらしてくれた……」
そこにいたのは杖を持った、翼を生やした一人の老人だった。
おそらく伝承で言うところの天空人だろう。彼はレックスの姿を見るなり、安堵したかのようにそう呟いた。
「あの……、あなたは……」
レックスの問いに老人は答えなかった。
「どうか……、世界を……」
それだけ言い残して老人は消滅し、後には杖だけが残された。
「あのお爺さんはこの杖を僕達に渡すためだけにここにいたのかな?」
「この杖はマグマの杖!」
「知ってるの、タバサ」
レックスがタバサに尋ねるとタバサは頷いて、
「かつて勇者様がこの杖で目の前の障害になっていた岩壁を砕いたという逸話があるの。きっと必要になる時が来るに違いないわ」
「とりあえず、今後の手助けになるものは手に入ったね」
「ただ、これから先どうすればいいかしら」
私達が今後の方針を決めあぐねていると、レックスがふとこんな事を言った。
「確か天空のお城って昔、空から落ちたんだよね」
そしてそれをタバサが引き継ぎ、
「となるとこの世界のどこかにその城があるという事になります」
「つまり次は天空城の捜索という事になるのか」
「なんかここ最近色んなものを探してばっかね」
思わずそんなぼやきが出てしまった。
ともあれ、目的は決まった。
目指すは地に墜ちた天空の城だ。
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