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提督「……辞めたい」
第一話 提督の決断
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が姉妹に居たとしても、その精神的な支柱が今にも崩れそうになってるんだ。──つまり、あいつらには希望を持てる存在が近くに居ない、生きる意味も見出だせてないでいるんだ」
「──!」
「さっきお前が話した、暗い過去から脱け出せない弱いあいつらが悪いという話だが、確かにお前の言う通りだとは思う。だが、一番の原因はあいつらの周辺に希望をもてるきっかけがないことだと、俺は思う」
「……」
「だから俺は……あいつらを解体処分したくない。生きる希望を持たせてやりたいんだ。救いたいんだ。大和、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だ。これからも俺は横須賀鎮守府の為に尽力したいと思っている。これは元帥からの命令であり、一年間を通しても変わらない、彼女達とぶつかり合って益々叶えたいと思った俺の夢でもある」
「提督の、夢」
「そうだ。俺の夢だ。だからこれからもよろしく頼む。こんな懲りないバカ野郎だがな」
「……そんなバカ野郎だなんて」
「それに、もう心を鬼にして仲間を解体処分して下さいなんて言うな。お前が傷付くだけだろうが」
「っ! ……もしかして、気付いてたん……ですか?」
「バカ。一年間も一緒に居るんだ。お前が心優しい性格してるのは重々理解してる」
「…………てい、とくっ……」

 俺の言葉に明らかに身を跳ねさせて反応し、それまで本心ではまだ生きていてほしいという思いが、図星を突かれたことで一気に防波堤が融解したのだろう。
「ほら。泣くなよ実際俺の方が今骨折して泣きたいっていうのに」

 「ですが…………です、が……っ」

 大和は本当に心を鬼にしていたんだろう。本当はまだ信じていたいあいつらのことを思い、葛藤しながら、俺へ解体をしようと進言してきた。本当に心優しい。素晴らしい艦娘だ。

 「……はは。たまに子供っぽくなるよな」

 だが泣いている姿は一番似合わない艦娘でもある。いつもの通りに、淑やかに微笑を浮かべて欲しい。

 顔を俯かせて、肩を震わせ泣いている彼女の頭に、思わず手を置いた。
 
「! 提督だっていつでも子供っぽいじゃないですか!」
「撫でられながら言われても説得力がないぞ」
「……な、なっ! 離してください」
「おっと」
「ぁ」
「ん? どうした」
「っ……なんでもありません」
「そうか。……まあ、とはいっても現状が危険なままなのは変わりないな」
「そうですね。ですからこれからは交代制で提督の護衛に付くことにしました」

 涙をハンカチで拭いながらも、そう告げてきた大和に思わず聞き返す。

「え? いつ決まったんだ?」
「もしも提督が解体処分もせずに又鎮守府に戻ってくるケースも考えて、事前に私と武蔵、陸奥さん、翔鶴さんで取り決めたことです。……ですがもしものケースではなく本当に適用す
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