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提督「……辞めたい」
第一話 提督の決断
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回のことを知ったとき……どんなに、どんなに心配したかっ……」

 気付けば、そこで大和の瞳が潤んでいた。

「や、大和……本当に申し訳ない。あ、ああ……ここにティッシュが」
「私がこうして涙を流してるのは誰のせいなんですかっ……ティッシュなんて取らなくて良いんです! 今は私の話に集中してください!」
「……分かった」

 そこで、それまで張り上げていた自分を落ち着かせようと深呼吸をした大和。表情はこれまで見たことがない程に、悲痛そうで、悩みに悩んでいる。


「……先程、提督が私に本音を呟いてくれる前、正直迷っていました。鎮守府にこのまま残り私達と共に護国の鬼として戦って欲しいと言うか。それとも、鎮守府から出て、戦いということから距離を置いて、穏やかな違う余生を送って欲しいと言うのかを」
「……俺は、提督だ。だからこれからも戦k「ですがもうひとつの考えが浮かびました」……ぇ」
「──もう私は……あなたに無理をさせたくありませんっ」
「大和……」
「思えば、着任から今までで、初めて提督の本音を聞けることが出来ました。……普段から私達が心配して声をかけても、苦笑するだけで、詳しくは話してくれなかったのですから」

 そこで依然として眦に溜めていた涙を初めて流しながら、大和は淋しく微笑する。

「初めて……この私に溢してくれた本音が……なんでこのようなものなのでしょうか。なんでこんなにも、互いを心苦しくさせるものになってしまったのでしょうか……?」
「……それは、」

 大和は、動揺して言い淀んだ提督の反応を一瞥した後、その涙をハンカチで拭い、普段のような確りとした雰囲気になった。

「……提督。もう良いのです。提督は何も悪くないのです。提督は、あの娘達が過去から脱け出せるように尽力しました。そして、その結果が今の状態なのです。全てはあの娘達をあのようにしてしまった前任のせいもありますが、多くはそれらの暗い過去にすがり付いて脱け出せない、弱いままのあの娘達のせいです──自分達の自己満足が為に、目に余る行為を犯してきた、そんな娘達だったのですよ。軍人として。誇りある日本海軍の軍艦としての風上にも置けません……ですから私は、そんなあの娘達の解体処分を希望します」
「っ……や、大和。自分が今何を言っているのか理解できてるのか?」
「はい。味方を……戦友を、死刑に処して下さい。……今回を含めて今までのようなあの娘達の行いは、上官に対する暴力や命令違反という、立派な軍規違反であると同時に、法律上裁かれるべき犯罪行為にもなります。それに……もしも他の方が今の提督のような立場になったとしたら、精神的な疾患に必ずと言っていいほど陥り、即刻自殺もしてしまうことでしょう。今の提督はそれほど酷い扱いを受けているのです……前任の後に着任
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