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その日、全てが始まった
第2章:奔走
第9話 『散りゆく想い』
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「ちょっ二人とも!」

 リサの制止も虚しく、2人は部屋から出て行ってしまう。

「……湊さん、私は本当にあなたの信念を尊敬していました……だからこそ私も??????とても失望したわ」

 紗夜はギターケースを背負い、退出の準備をする。

「紗夜お願い! 少しは友希那の話を……」

 紗夜は扉の前で立ち止まり振り返る。

「答えないことが最大の答えだわ」
「……じゃあこれから先アタシ達、どうするつもり……?」

 瞳に涙浮かべたリサが、紗夜へと問い掛ける。

「あなたと湊さんは『幼なじみ』……何も変わらないでしょうね」
「そういうことじゃなくて……! 洸夜も何か言って!」
「……悪いな。こればっかりは……答えない人間を擁護する事はできない」

 そう言った洸夜は俯く。
 そんな彼の隣の紗夜は、扉に手をかける。

「私はまた時間を無駄にしたことで少し苛立っているの……申し訳ないけど失礼するわ。洸夜」

 洸夜を呼ぶ紗夜。
 しかし洸夜は、こう答える。

「悪いな。俺にはまだやることがある。先に外出ててくれ」
「紗夜……っ」

 洸夜の言葉を聞くなり、紗夜は部屋を出ていく。
 残されたのリサ、友希那、洸夜。

「んで、結局のところどうなんだ?」
「……」

 3人だけになっても尚、友希那は口を開かない。

「友希那! ねぇ、皆んなが言う様に全部本当なの?!」
「……本当だったらなに?」
「友希那はそれでいいの? 本当はメンバーに何か言いたいことがあるんじゃ……」

 直後、友希那は顔を上げた。

「……っ! ???知らないっ! 私はお父さんの為にフェスに出るの! 昔からそれだけって言ってきたでしょ!」
「友希那……」
「???それが答えか」

 洸夜は言葉を溢す。

「で、お前はこの後どうする気だ?」
「……帰るわ」

 洸夜の問いかけに、友希那はそう返す。

「か、帰ってどうするつもり……?」
「フェスに向けた準備をするだけよ」
「友希那!!」

 それだけ言い残すと、友希那も部屋から出て行く。

「……洸夜……アタシはどうしたら良かったの……」

 涙声のリサが、そう尋ねる。

「そうだな……正解なんて、今の場面は存在していなかった、とだけ伝えておく」

 そう言って洸夜は、リサの横を通り過ぎる。

「上がっていいよ。片付けはやっておくから」

 その言葉に頷いたリサは、ゆっくりと退出する。
 その際、洸夜は彼女の瞳から雫が溢れるのを見逃さなかった。

「???想いだけじゃ、何も変えられないんだよ。何事も」

 誰もいない空間の中で、洸夜はそう呟くのだった???





 片付けを終え
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