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その日、全てが始まった
第2章:奔走
第9話 『散りゆく想い』
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目に見える程に驚いた。

「……それがどうしたって言うの? 湊さんにだってプライベートはあるでしょう」
「でも……」
「あこちゃん……今は練習を……」
「そ……そうだけど……でも……気になるんだもん!」

 燐子に制されるあこだが、それを振り切って言葉を続ける。

「取り敢えず落ち着け。あこ???何を見たんだ?」

「コウ兄……あこにとってRoselia6人だけの……『自分だけのカッコイイ』のために頑張ってきました……」

 あこは震えながらも、言葉を続ける。

「だから……コンテストに、出られないなんてぜったいイヤなんだもん!」
「……どういうこと?」

 その一言に、紗夜も食いつく。

「今日……りんりんと待ち合わせしてて……そしたら……友希那さんを見かけて?????友希那さん、フェスのメインステージに出ないかって言われてて……」

 その一言を聞いた洸夜は、そっと友希那の方を向く。
 その傍らで、あこは続けて言う。

「Roseliaで生真面目にコンテストに、出る必要なんて無いって……!」
「……」

 その言葉に、友希那は何も答えなかった。

「……宇田川さんの言い分はわかったわ。湊さん、認識に相違はないんですか?」

 そう言って拳を握った紗夜は、友希那に詰め寄る。

「私達とコンテストになんか出場せずに自分1人……本番のステージに立てればいい……そういうことですか?」
「……っ!」

 それでも友希那は沈黙し続ける。

「湊……本当なのか?」
「……」

 何も答えずにいる友希那に、紗夜はこう告げる。

「……否定しないんですね……だったら???」
「ちょ……ちょっと待って! そう言った訳じゃないじゃん!」

 リサは慌てて紗夜を止めに入る。

「友希那の言い分だってちゃんと聞こうよ! ねっ友希那!」
「……」
「沈黙って事は……肯定……か?」

 黙りを貫き通す友希那に、洸夜はそう問い掛ける。

「……友希那……っ! ねぇ何か???」
「『私達なら音楽の頂点を目指せる』なんて言って……『自分達の音楽を』なんてメンバーをたきつけて……」

 紗夜は言葉を続ける。

「フェスに出られればなんでも……誰でもよかった……そういうことじゃないですか」
「……あこ達、そのためだけに集められたってこと?」

 紗夜の言葉に、あこが反応する。

「あこちゃん……っ! なにもそうとは……」
「あこ達の技術を認めてくれてたのも……Roseliaに全部賭けるってはなしも……みんな……フェスに出るための……?」

 あこを説得する燐子。
 その傍らで、あこは泣いていた。

「友希那さんひどいよ……っ!!」
「あこちゃん待って!
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