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その日、全てが始まった
第2章:奔走
第9話 『散りゆく想い』
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ああ。じゃあな」
『また明日』

 そう言って通話を終えると、洸夜は部屋扉を開く。

「行く?」
「うん!」

 満面の笑みで頷く日菜。
 そんな彼女に対して軽く微笑み返した洸夜は、日菜と共にリビングへと向かうのだった???





 翌日、CiRCLEを訪れた洸夜はBスタジオへと入る。

「……はよざいまーす」
「おはよう」

 中にいたのは、祐治1人だけだった。

「1人か?」
「ああ。もう少ししたら来ると思うぞ」
「……そうか」

 そう呟いた洸夜は、キーボードの用意に取り掛かる。

「よいしょっと……」
「相変わらず行動が早いな」
「癖……みたいなものなんだよ」

 苦笑しながら答えた洸夜は、用意し終えたキーボードの前に立つ。

「ところで、今日は何するんだ?」
「普通に合わせて練習するつもりなんだが……」
「まだ面子が揃ってない……と?」
「そう言うことだ」
「じゃあ、軽く弾いててもいいか?」
「いいぞ」

 了承を得た洸夜は、高音から低音へと鍵盤を走らせる。

「じゃあ、弾いて行きますか。なんかリクエストある?」
「そうだな……じゃあ、ベートーベンの交響曲第9番???『歓喜』で」
「OK」

 そう言った洸夜は、近場にあった椅子を掴むとキーボードの前まで運び、腰を下ろす。
 そして、ピアノを弾く様に演奏を始めるのだった。
 その演奏に、祐治は耳を傾ける。
 その傍らで、洸夜は演奏を続けていく。

「〜〜〜〜♪」

 自身も体で音をとりながら、洸夜は演奏を続ける。
 そして、最終小節を引き終えた洸夜は、その余韻を味わった後にそっと鍵盤から手を離す。
 直後、4人分の拍手が鳴り始める。

「……え?」

 予想外の状況に、洸夜は思わず顔を上げた。

「凄かったよ、氷川君」
「見事だった」
「流石だな洸夜」
「すげぇよ、ほんと」

 いつの間にか揃っていたCrescendoのメンバーが、そう告げるのであった。

「あ、ありがとう」

 少し恥ずかしそうにしながらも、洸夜はお礼を言うのであった。

「でも、雅人が褒めてくれるのは意外だな」
「なんだよその、俺が冷たい奴みたいな言い方は」
「そんなこと言ってないよ。寧ろ雅人は仲間思いの優しい奴だと思うが?」
「な……それは、その……ありがとう」
「「「「やっぱりツンデレじゃないか(だな)(だよね?)(だ)」」」」
「なんでそうなるんだよ!?」

 雅人のツッコミに笑う一同。
 そんな感じで笑った後、改まった雅人が祐治へと尋ねる。

「……コホン。で祐治、やるのか?」
「ん、ああ。勿論だ」
「……やるって、何を?」
「それはだな???」

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