第8章:拓かれる可能性
第238話「足掻け、限界を超えろ」
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らが守る!」
「紫陽ちゃん!障壁お願い!……私が相殺する!」
「了解!」
即座に紫陽が障壁を張り、とこよが前に出る。
直後、豪雨も真っ青な弾幕が聡と玲菜を狙って放たれた。
「ッ、ッッ………!!!」
斬る。斬る。二刀を以て、その弾幕をとこよは斬りまくる。
「くっ……!」
だが、あまりに量が多い。
体の所々に被弾し、刀が片方弾き飛ばされる。
「まだっ!」
槍に即座に持ち替え、さらに弾き続ける。
……今度はもう一方の刀を弾き飛ばされた。
「まだっ!」
斧に持ち替え、槍と斧で迎撃する。
「ぐっ……!?」
そして、槍、斧と順に弾き飛ばされる。
最後に扇を構え、御札をバラまいて障壁を張る。
余波は紫陽の障壁で充分だが、とこよの障壁を破られればたちまち聡と玲菜は弾幕の奔流に呑まれてしまうだろう。
「ッ……!(耐えきれない……!)」
とこよの張った障壁に、罅が入り始める。
いくら霊脈の力を使っても、耐え続けるのは厳しい。
……故に、とこよは次の切り札を切った。
「―――来て!伊邪那岐!!」
紡がれたのはたったそれだけの言霊。
しかし、展開された術式はかなり複雑なものだった。
「何……!?」
弾幕を張り続ける神が、僅かに驚愕する。
障壁の罅が塞がっただけではない。
とこよから、放たれるはずのない神力が放たれていた。
「……神降しは、何も優輝君だけの特権じゃないよ……!」
そう。とこよは神降しを行ったのだ。
それも、かつて式姫として仲間だった伊邪那岐で。
「は、あっ!!」
気合一閃。槍を薙ぎ払い、神力の斬撃を飛ばして弾幕に穴を開ける。
「たかがこの世界の神を宿した所で!」
多勢に無勢だと、神が言う。
「―――誰が、宿す神が一柱なんて言ったのかな?」
「待てとこよ!それは……!」
「ここで限界を超える!来て、火之迦具土!!」
―――“多重神降し”
とこよから、炎の如き神力が追加で溢れ出す。
その熱気が、弾幕を押し返した。
「私が紡いで来た全てを、ここで叩きつける!!」
かつて、数多の式姫と共に幽世の門を閉じて回り、最後は幽世の大門を閉じた人知れない影の英雄。
……そんなとこよが、限界を超えたその先へ、一歩踏み出した。
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